2021年10月13日水曜日

耐越水シートの開発(21) (法尻ブロックの隙間の雑草が大問題に)

 下の写真は、危機管理型ハード対策として施工し、3~4年経過した護岸ブロックの状況である。
 ブロックの隙間や、連結金具周辺から高さ50㎝~70㎝ほどの雑草が茂っている。
 ブロックの下には吸出し防止材が施工されているはずだが、それにも関わらず雑草がブロックを覆う。

 この雑草の除草は自走式の除草機では不可能だ。また、肩掛け式の除草機でも、刃がブロックの隙間に入らないので除草は不可能に近い。無理に作業すると刃がブロックにあたりボロボロになってしまう。

  したがって、国交省の河川を管理する出張所では、人力作業で雑草を引き抜いたり鎌で刈ったりしている。法尻ブロックは越流水の流速を弱めるために表面が凹凸状になっているが、除草作業員たちは、足場の悪いブロックの凹凸面を気にしながら、高コストで危険な除草作業しているのである。これは実際に自分で体験しないと分からないことではあるが。

 国交省はかつて5ヶ年計画で、越水に対し「粘り強い堤防」を実現するために、全国で630㎞を法尻ブロックで補強をした。また、令和元年の台風第19号で破堤した現場では、再度災害防止のために川裏の全部の法面をブロックで覆った現場が多い。こうした現場では4~5年後に除草の問題が噴出することになる。

 現在、国交省は危機管理型ハード対策の効果を上回る「粘り強い河川堤防」の構造検討を実施しているが、環境及び景観との調和や維持管理の容易性、コストなどが重点課題として掲げられている。

  しかし、ブロック張にした場合に、雑草の繁茂による景観の阻害や、容易でない除草作業、コスト高になることは必然であり、これをどのように判断し最良の工法を選択するかが課題となっている。

  法尻ブロックの凹凸面の上を歩くだけでも危険で、まして、除草作業は極めて危険だ。