2026年4月21日火曜日

沈下したブロック積み擁壁の補強設計 ①

 ブロック積擁壁で高さ3mに盛土した道路が沈下していた。ブロック積擁壁も沈下していて、ブロック間に3㎝の隙間が発生していた。

 擁壁の沈下対策が、この会社に再再就職して初めての仕事になった。

 会社では最初、ブロック積擁壁を取り壊してPC杭を打ってモタレ擁壁を新設することを考えていたが、PC杭が下水管を破ってしまう可能性があったので、他の対策案を検討していたが見つかっていなかったようであった。

 ブロック積擁壁をそのままにしておくと、第一コンサルタンツの社長の右城猛氏の著書『擁壁のトラブルから学ぶ』のように地震で倒壊する可能性があることを知った。熊本地震では数多くのブロック積擁壁が倒壊したようである。

 さて、どんな対策が必要だろうか?

 こういう仕事は初めてである。

 いままでは設計コンサルタント会社から示された複数の計画から、ひとつを選択するだけのことしかしていなかった。

 立場が180度変わってしまったのである。

 さて、どうする。名ばかり技術士……。
沈下したブロック積擁壁。中央部分のブロック間に隙間が多くなっている。
ブロック積擁壁の天端は歩道になっているが、歩道も車道も沈下しているように見える。路面にはクラックが入っている。
下水管の埋設ルート上でブロック積擁壁や道路が沈下していたので、原因は下水管の可能性が高いが、道路管理者側として下水管の補強はできないし、PC杭を打ってモタレ擁壁を再構築することも不可能だ。
第一コンサルタントの社長の右城(うしろ)氏の著書『擁壁のトラブルから学ぶ』には、熊本地震でブロック積擁壁が地震の慣性力で倒壊したいくつかの倒壊パターンが示されている。
熊本県西原村のブロック積擁壁の倒壊現場。盛土はそのままだがブロック積擁壁だけが崩れたケースが多くあった。ブロックが重いので慣性力が盛土よりも大きくなるからだろう。
熊本県西原村のブロック積擁壁の倒壊現場の状況。地震の水平方向加速度が大きいとブロック積擁壁は簡単に崩れる。ひびの入ったブロック積擁壁だとなおさら崩れやすいのは言うまでもない。

2026年4月17日金曜日

シールコンの目地の雑草対策 ⑤

2015年の夏、日本海東北自動車道の象潟インターのランプで、私が提案する防草対策が試験施工された。

結果は次のとおりである。

雑草は完全に防止することはできないものの、防止対策をしなかった箇所と比べると雑草の勢いは雲泥の差であることがわかる。
★印が撮影箇所。日本海東北自動車道の金浦IC~象潟IC間は2015年10月に供用された。
舗装と境界ブロックの接合面からは雑草が生えているが、防草対策を実施した境界ブロックの接合面や、シールコンクリートの目地から雑草は殆んど生えていない。ストリートビューの撮影年は2022年9月。象潟インターのランプの中央分離帯。
シールコンクリートでは雑草はまったく生えていない。ストリートビューの撮影年は2022年9月。象潟インターのランプ部の中央分離帯。
本線部の防草対策が行われていない区間の雑草の状況。シールコンクリートの目地から雑草が勢いよく生えている。施工後7年間で雑草が生えやすい状況になっていることがわかる。ストリートビューの撮影年は2022年9月。

2026年4月16日木曜日

シールコンの目地の雑草対策 ④

シールコンの目地の雑草対策を考案したが、実際の施工状況は次のとおり。施工が簡単なのでコストは少なくて済む。
ビニールシートを敷いている状況。場所は秋田南バイパス。2016年の施工。
ビニールシートを敷き終わった状況。
シールコンクリートの継ぎ目の下に敷いた防草シート。

2026年4月15日水曜日

シールコンの目地の雑草対策 ③

防草効果は高いが価格も高い「防草ブロック」。もっと安い方法はないだろうか。

「防草ブロック」ではシールコンクリートの継ぎ目の防草対策には利用できない。何かいい方法はないだろうか。

そこで考えたのが、隙間や目地の下にあらかじめ防草シートやビニールシートを敷いておく方法だ。

イメージは次のとおりである。

どちらも、雑草の根が地中に到達しにくいように工夫してある。
私が考えたローコストの境界ブロック用の雑草防止対策。通常の境界ブロックの施工単価の1.1倍以下のコストで施工可能である。
私が考えたシールコンクリートの継ぎ目の防草対策。この手法はほとんどコストに影響はない。

2026年4月14日火曜日

シールコンの目地の雑草対策 ②

 境界ブロックと舗装やコンクリートとの隙間から生える雑草を防止する製品として「防草ブロック」が普及している。
 
 ブロックに斜め下方向に溝が刻まれていて、雑草の根や芽がそこで成長が止まるようになっている。
 
 この製品は雑草防止対策の切り札と言えよう。
 
 しかし、残念なことにこの「防草ブロック」は一般品に比べて価格が1.5~2倍もするとのことである。(Geminiの調査結果)
 
 そして、この製品では中央分離帯のシールコンクリートの目地からの雑草を防ぐことはできない。

 そこで考えたのが、隙間の部分や目地の箇所の下に、防草シートやビニールシートを敷く方法。これだとコストはかなり安く済むはずである。

防草ブロックの一例。防草効果は高いが価格は一般の歩車道境界ブロックの1.5~2倍になるという。
防草ブロックの模式図。草の芽は下方に伸びることができないことと、草の根が上方に伸びることができない性質を逆手にとった防草方法である。
防草ブロックは境界ブロックと接する箇所では効果があるが、シールコンクリートの目地には使えない。シールコンクリートの膨張目地からセイタカアワダチソウが伸び放題だ。

2026年4月13日月曜日

シールコンの目地の雑草対策 ①

 振り返れば、自分が取り組んだのは堤防のイタドリ対策やロードヒーティングだけではなかった。

 秋田河川国道事務所に勤務していたころに、道路の中央分離帯などのシールコンクリートからの雑草防止対策にも挑んだことがある。
 
 国道7号の秋田南バイパスの4車線化工事の時に、舗装会社などに自分のアイデアを告げると試験施工をしてくれた。

 道路に雑草が生えているのを見ると、街や道が荒廃しているように見える。東北にインバウンドが少ないのは、ひょっとしてこれも原因なのかもしれない。

 ロンドンとパリの街並みと比べると違いは一目瞭然。日本の道路の景観は、なんとまあ貧相なことだろうと心が痛む。

 昔し、シビックパフォーマンスと称して土木構造物をいろいろなデザインや色彩で飾った時期があった。一部では華美過ぎたり奇抜すぎるものもあって批判されたことがあった。その経験から「要・強・美」が重要だということを気づかされた。

 ロンドンやパリの道路は決して華美なデザインではないのだが、雑草が生えないから美しく見えるのかもしれないし、飾らないことが土木構造物の美しさの原点なのかもしれない。
高規格道路の秋田道の金浦インター近くの雑草状況。近くには美しい鳥海山が見えるのだが、道路の雑草はその景色を台無しにしているようだ。
二本松市内の国道4号の雑草状況。街が寂れしまったのだろうかと思わせるような景観になっている。
大河原町内の国道4号の雑草状況。雑草だけでなく木も生えている。あの木なんとかならないだろうか。

ロンドンの道路。雑草は見当たらない。なぜだろう?
ロンドンの道路。雑草なのか草花なのか背の低い草が見えるが、荒廃した風景ではない。
パリのシャルル・ガルシア通り。さすがパリ。街並みも美しい。常時、除草しているとは思えないが…。

2025年10月15日水曜日

堤防でイタドリの成長抑制の試験施工を行う(11) (堤防のイタドリ・ブタクサ・セイヨウカラシナ・セイタカアワダチソウ・セイバンモロコシ・アレチウリ・モグラ・キツネ・イノシシ対策に挑む)

広瀬川の堤防がきれいに除草されていた。

私がイタドリが生えないようにと「雑草抑制ネット」を敷いた箇所は、ありがたいことにその効果を確認できるようにきちんと実験の一画を残していてくれた。

実験区画の除草は春から一度もしていない。

しかし、その一画に1本、セイタカアワダチソウが生えている。

私が開発した「雑草抑制ネット」はイタドリだけでなくセイタカアワダチソウも防止できるはずなのに、高さ1mを超すセイタカアワダチソウが1本、高々と立っている。

一瞬、セイタカアワダチソウの根が「雑草抑制ネット」の網目を破って生育しているのではないかと驚いて根元を良く見ると、根がネットの表面を這って延びていた。
セイタカアワダチソウの根はネットを突き破ることができないので、ネットの上を這いながらネットを敷いていない所まで根を伸ばして養分を吸って生きていたのだ。

セイタカアワダチソウの生命力の強さに脱帽である。

春から一度も除草していないのに、セイタカアワダチソウは例外として雑草の背丈はこの程度で済んでいるのだから、「雑草抑制ネット」は十分、雑草をコントロールできていると思う。
除草した堤防の法面にポツンと実験区画が残されていた。春から除草は一度もしていないが雑草の草丈はセイタカアワダチソウ以外は低く抑えられている。この程度であれば除草は数年に一度の頻度でもいいのではないかと思われる。
実験区画の中に一本だけセイタカアワダチソウが生えていた。これでは「雑草抑制ネット」にならないと心配して近づいてみると……。
なんと、セイタカアワダチソウの根はネットの上を這いながらネットの無い地面まで延びてしっかりと生きていた。
実験で使用した「雑草抑制ネット」。開発者は自分。
メーカーは「タキロンシーアイシビル㈱」