2022年2月28日月曜日

超省エネ型のロードヒーティングが、路面凍結によるスリップ事故を防止

 秋田市の下浜地区の国道7号「サンセットロード」で、私が発案した「わだちロードヒーティング」が稼働している。

 サンセットロードの桂根こ線橋(L=105m)はカーブ橋で、縦断勾配が3.5%、横断勾配が6%で合成勾配は7%ときつく、白波をあげ荒れ狂う冬の日本海が200~300mに迫っている。この辺の国道のどこよりも路面凍結しやすく、スリップ事故の多発が予想される場所だ。

 しかも、橋の下にはJRと旧国道7号が通っていて、除雪した雪を下へ捨てることはできない。

 通常の電熱ロードヒーティングは、電熱線を道路の横断方向にヘアピン状に配線するが、わだちロードヒーティングは下の写真のようにわだち部分に道路の延長方向に配線する方法。道路全体の雪を融かすのではなく、タイヤが接するわだち部分にだけ融かす。だから、通常のものより電熱線の延長が4分の1から5分の1で済む。その分、電気料金が少なくなる。

 使用電力量が50kWH以上になれば高圧電力が必要になり、キューピクルと呼ばれる変圧器が必要になる。キューピクルは5~8百万円もする。しかし、わだちロードヒーティングは4分の1の電力量だから200m程度の橋だと、電力量は50kWH以下で済むのでキューピクルは不要だ。

 令和4年2月17日、日本海側は大雪。この橋の前後ではスタックが発生しているが、わだち部分の雪が融けてアスファルト面が露出した桂根こ線橋は交通支障は発生しなかった。

 電熱線は7cm間隔で、わだち1本あたり4本の電熱線が配線された。融雪幅は約40cmと、安全走行には十分な幅だ。

 昨年の1月にもサンセットロードが大雪によるスタックで通行止めになったが、わだちロードヒーティングはしっかりと融雪していた。スタックは桂根こ線橋以外で発生したという。

 サンセットロードの中で、最も路面凍結してスリップ事故の発生が危惧される桂根こ線橋が、わだちロードヒーティングで守られたことになる。

桂根こ線橋は、サンセットロードの終点側に位置する。すぐ近くに日本海が迫る。橋の下には旧国道と鉄道があり、雪を下に捨てることはできない。
 電熱線はわだち1条あたり3本で十分だ。この現場では念のため4本埋設したが、3本でも十分な熱量が確保できそうである。
大雪の日、この橋の近くでは路面凍結でスタックする車両が何台かあったが、この橋はわだちロードヒーティングが稼働しているので、路面がわだち状に融けてスタックは発生しなかった。手前はわだちロードヒーティングを設置していない部分。アイスバーンになっておりスリップしそうな状態だ。