2023年8月20日日曜日

堤防でイタドリの成長抑制の試験施工を行う(3) (堤防のイタドリ・ブタクサ・セイヨウカラシナ・セイタカアワダチソウ・セイバンモロコシ・アレチウリ・モグラ・キツネ・イノシシ対策に挑む)

2023年の1月に国土交通省が管理する堤防で、ジオネット(タキロンシーアイシビル社製 強害雑草抑制ネットの1mmメッシュ)を利用して、イタドリの成長抑制対策の試験施工を行った。

 その後、堤防の表土を15cm削ってジオネットを敷き、その上に野芝を張ったエリアには、7月7日時点でイタドリの新芽が、1m2あたり2~3本程度の割合で萌芽していた。
それから40日経過した8月18日。再び現地に行ってみると、イタドリの成長は停滞していて草丈はほとんど変化がなかった。この状態だと堤防の点検は問題なく行えるだろう。

 また、40日前には元気だったはずのイタドリの芽が、立ち枯れているのが何本もあり、一方で60㎝ほどまで伸びているのも3本ほどあった。
 60㎝まで伸びたり、枯れたりするのはなぜだろうか。これを究明すれば新しい技術が生れるかもしれない。
 
 イタドリが河川管理者から嫌われる理由は、ひとつは3mまで延びるイタドリが密集すると、堤防の点検の邪魔になるからだ。二つ目は、イタドリが繁茂すると日光が下草に届かないので堤防の表面が裸地化し、雨や洪水で侵食されやすくなるからだ。
 裸地化の原因はイタドリが発するアレロパシーのせいだとの説もある。

 イタドリの成長はおおむね8月で止まる。
 試験施工の効果は十分といえよう。
 
国交省の堤防での試験施工エリア。令和5年7月7日の時点。小さなイタドリが萌芽していた。
 同じエリアの令和5年8月16日時点の状況。前回の観察から40日経過したが、イタドリはほとんど成長していなかった。この状況だと堤防点検は支障なくできそうだ。なお、試験エリアの周りは1度除草したのにも関わらず、イタドリなどがすでに1m以上にのびていた。

2023年8月7日月曜日

堤防でイタドリの成長抑制の試験施工を行う(2) (堤防のイタドリ・ブタクサ・セイヨウカラシナ・セイタカアワダチソウ・セイバンモロコシ・アレチウリ・モグラ・キツネ・イノシシ対策に挑む)

 国土交通省が管理する堤防で、ジオネット(タキロンシーアイシビル社製 強害雑草抑制ネットの1mmメッシュ)を利用して、イタドリの成長抑制対策の試験施工を行った。

2023年の1月に工事を行い、それから5か月ほど経った6月初旬の状況が下の写真。中央の芝が試験エリアで、その周りは従来のままの法面。周りはイタドリやほかの雑草が1m以上に伸びている。

 この時点ではジオネットの有無に関係なくイタドリがほとんど生えていなかった。

 従来、イタドリが繁茂した場合は、堤防法面を深さ50㎝掘削し、さらにその切土面を階段状に仕上げる「段切り」をしてから新しい土を盛土し、最後に野芝張る。この方法だと1m2あたりの工事費用(経費込み)は約1万円ほどになる。

 土を50㎝入れ替える場合、イタドリの地下茎の9割程度が除去される。しかし、イタドリの地下茎は地下2mまで延びているので、残った地下茎から萌芽が始まる。50㎝の盛土の中を突き抜けて地表面に萌芽するまでに、正確にどのくらいの時間を要するのかは不明だが、2~3年ぐらいでポツリポツリと萌芽し始めて、4~5年後には元の状態に戻るらしい。

 このブログでは、その5年間を追跡報告してみたいと思う。

写真の手前から1本目の杭までが、50㎝土を入れ替え野芝を張ったエリア。1本目から2本目の間は、50㎝の土を入れ替えて1mmメッシュのジオネットを敷設してあるエリア。その奥のエリアは15㎝土を入れ替えてジオネットを敷設したエリア。ジオネットを敷設したエリアは若干、芝の生え具合が劣る。
ジオネットを敷設していないエリアで、モグラかアナグマが穴を掘った形跡が3か所見つかった。ジオネットを敷設しているエリアではその形跡がなかった。
モグラかアナグマが掘った穴の形跡。