2019年2月5日火曜日

省エネ型ロードヒーティング(スリップ事故防止対策)  ~凍結抑制舗装は路面凍結を防止できるのか?~

 国土交通省北陸地方整備局の北陸技術事務所は、多種多様な11種類の凍結抑制舗装の効果等を検証することを目的に検討会を立ち上げ、平成27年から新潟県長岡市東川口地内の国道17号で調査を続けている。

 公募された11種の次に示す凍結抑制舗装は、すべてNETIS登録されているものである。

① ゴムパウダ型凍結抑制舗装 ((株)佐藤渡辺)
② ザベック工法 (世紀東急工業株)
③ ク゛ルービングウレタン工法 (鹿島道路(株))
④ アイストール (オサダ技研)
⑤ アイスクラッシュベイブ (大成ロテック(株))
⑥ アニメウレタン舗装 (日本道路(株))
⑦ アイスインパクト (福田道路(株))
⑧ ゴムロールド((株)NIPPO)
⑨ ルビット舗装 (大林道路(株))
⑩ アイストッパー (大林道路(株))
⑪ フル・ファンクション・ペーブ ((株) ガイアート)

 凍結抑制舗装には物理系、化学系、物理化学系に分類されるが、地域特性に合致する工法選定の判断資料が少なかったことから、試験フィールドで検証することになった。

 試験はこの11種の凍結抑制舗装と、通常舗装の密粒度アスコンとの比較で行われ、一冬経過した平成27年7月、その中間報告が発表された。

 その結果、通常舗装に比べると凍結しにくいとしている。そして、除雪業者の感想は「少雪時、交通量が多い場合に効果を感じている」とのこと。

 ということは、少雪以外や交通量が少ない時はどうなるのだろうか?

 気になって翌冬、私はCCTVのライブ画像を見てみた。雪がかなり降っていたが(時間降雪深は5㎝ぐらいか)、試験フィールド箇所はどの路面も真っ白のアイスバーンになっていた。

 凍結抑制舗装のうち化学系であれば、混入されている凍結防止剤がある限りは融雪することもありうるが、物理系のものは雪を融かすことができないからだろう。

 なお、各舗装の効果を検証する検討会の最終分析はいまだに未発表となっていて、経過観察がどうなったかは不明となっている。

 機会があれば長岡に出向いて、凍結抑制舗装はアイスバーンを防止できるのか、間近で観察してみたい。


凍結抑制舗装のアイスバーンの防止能力は?

2019年1月31日木曜日

超省エネ型ロードヒーティング(スリップ事故防止対策)の魅力

 国土交通省東北技術事務所が発案し開発した、超省エネ型ロードヒーティング(別名「ライン型ロードヒーティング」)の魅力を整理すると、次のようになる。
 
 ① 構造が単純である。
 ② 工事が簡単にできる。
 ③ 低圧電力が使用できるので、変圧器が不要になる。
 ④ 埋設する電熱線が従来の1/5で済む。
 ⑥ わだち部分だけの融雪なので、効率がいい。
 ⑦ 路面凍結やアイスバーンにならないので、スリップ事故が発生しにくい。
 ⑧ 橋梁に導入した場合、凍結防止剤の散布が不要になるので、橋の耐久性が向上する。
 ⑨ 自動薬剤散布装置のような、設置スペースが不要。
 ⑩ メンテナンスがほぼ不要。
 ⑪ 電熱線の張り替えが可能。
 ⑫ 以上のことから大幅なコスト削減が可能。

 また、この方法は国土交通省東北地方整備局から「3D表彰」を、土木学会東北支部や科学技術庁などからも表彰されている。

 なお、2013年11月から実働中の日沿道(秋田道)の4橋の、超省エネ型ロードヒーティングは故障せずに現在でも効果を発揮している。


秋田道(秋田県小坂町)で、現在も稼働中の「超省エネ型ロードヒーティング」のようす。スリップ事故防止に効果を発揮している。



2019年1月18日金曜日

省エネ型ロードヒーティング  ~路面凍結によるスリップ防止対策の経済比較~

 ミラーバーンやアイスバーンなど、路面凍結によるスリップ事故を防止するための各種方法の、特徴とライフサイクルコストを、下表のようにまとめてみた。

 近年はヒートポンプで加熱した不凍液を、放熱管で循環させる方法が主流となっている。しかし、ヒートポンプの高コスト、騒音や格納場所の確保が必要だ。ポンプが故障することもある。
 また、放熱管の配管スペースが確保できないので、橋面の融雪には不向きだ。

 一方、トンネルのように降雪がない箇所では、舗装材にウレタンやゴムなどを混入させた凍結抑制舗装が施工されている。しかし、この舗装は雪を融かすことができないので、降雪があるところではあまり効果が期待できない。 

 下表のように、超省エネ型ロードヒーティング(ライン型ロードヒーティング)のコストは小さく、かつ、スリップ防止効果が期待できる方法である。しかも、既設の橋にも導入が可能だ。

 詳細な設計仕様や設計図集、技術資料は、国土交通省東北地方整備局の東北技術事務所(TEL 022-365-8211)が保有しており、導入を検討する場合はぜひ問い合わせをお願いしたい。
 貴重な税金で製作した技術資料を、東北技術事務所が出し惜しみすることはないと思う。