2020年1月13日月曜日

堤防の強靭化を実施 ①

 昨年(令和元年)の5月、イタドリが繁茂する石狩川と忠別川で、「植生保護シート(ジオネット)」の上に3㎝の客土吹き付けを行う工事が行われた。
 発注者は北海道開発局旭川河川事務所である。
 私が発案したジオネットによる堤防強靭化工事の第1号と第2号である。2件の工事で約2万m2が施工された。

 北海道のイタドリは背丈が3mまで伸び、東北のものよりも一回り大きく成長する。背丈が高くなったイタドリは、除草機の刃の摩耗が激しく除草の効率を下げる。葉っぱの量が多いので、除草量が嵩む原因にもなる。
 牛はイタドリを食べないので、刈草を畜産農家に提供するときには、イタドリを除去しなければならない。
 
 イタドリには、アレロパシー(ある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出すること)の能力があるので、イタドリの周辺は裸地化する。草が生えない裸の地面に降雨が当たるとガリ侵食が発生したり、越水流で堤防の地肌が侵食されやすくなる。これが堤防浸食を招くことになる。

 また、イタドリが繁茂する堤防にはモグラも住み着きやすいと言われる。モグラが掘った穴で4年前に宮城県の渋井川が破堤したこともある。堤防の植生管理は重要で、奥が深い。
 
 ジオネットはイタドリの成長を抑制するだけではない。ジオネットは1mm四方に加工された網だが、この密度は野芝の根よりも緻密だ。緻密なジオネットは堤防の法面の侵食を遅らせることができる。モグラも住み着くことはできない。

 ジオネットによる堤防の強靭化が、北海道から始まっている。
北海道の忠別川におけるジオネットの張り付け作業。重ね合わせ部を特殊加工したので、敷設作業がしやすくなった。(2019年5月)

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