耐越水シートに必要な条件は、シートが堤防法面に密着して剥がれにくいことだ。
1mmメッシュのジオネットには1m2当たりに100万個の穴(網目)がある。その穴を芝の根毛や根が突き抜けて堤防法面に延びていく。
つまりは、根毛が無数のアンカーピンとなって頑張るので、ジオネットと堤防法面が一体化するということである。
このような状態で越水が発生しても、芝の葉とジオネットで流速が低下し、芝の根毛が無数のアンカーとなって、水圧や流速に粘り強く対抗して侵食やシートの剥落を防ぐのである。芝の根毛の太さは0.2~0.4mmほど。網目の大きさは1mmなので根毛が通過すると、網目はほぼ塞がり侵食防止効果が向上することになる。
【写真】ジオネットの網目から這い出た芝の根毛。この根毛がアンカーピンの代わりに頑張って法面と一体化する。
国交省に40年間在職し、堤防の厄介モノであるイタドリやセイタカアワダチソウを、ジオネットと呼ばれる樹脂製の網で、恒久的に成長を抑制するコスト削減手法を開発。ジオネットはモグラやキツネの防止、越水による侵食の防止効果もあり、堤防の強靭化に貢献できます。 また、従来の5分の1程度のコストや電力量で融雪効果が発揮できる、超省エネ型ロードヒーティング(別名ライン型ロードヒーティング)も開発。この二つの技術をメインに、技術士としての残り少ない日々の想いを綴って技術伝承し、少しでも社会に貢献できればと願っています。 (連絡先 atk.shimazu@gmail.com)
2021年5月25日火曜日
2021年5月7日金曜日
耐越水シートの開発⑯ (コンクリートだらけの堤防)
東日本大震災で被災した岩手県や宮城県、福島県の河口に近い河川の堤防は、下の写真のように川表と天端、
川裏がコンクリートで固められている。津波の破壊力に耐えるためには、固いコンクリートで覆うのが最も安心
である。
しかし、そうは言えども、コンクリートの堤防の上に立ってみると、妙に落ち着かない。
「兎追いし彼の山、小鮒釣りし彼の川」と謳い慣れた日本の景色はここにはないのだ。山高く水清しと表現さ れるような、日本の原風景は感じられないのである。
コンクリートで三方を固めることは否定しないものの、コンクリートをむき出しにするのは抵抗感がある。
せめてコンクリートの上に覆土するとか、多自然型護岸ブロックの活用ができないものかと思う。
越水による堤防の裏法面の侵食防止方法としても、コンクリートブロック張は最も有効であろう。
しかし、コンクリートブロック張と覆土工を合わせた工事費用は多額であり、とても国内の多くの河川の 強靭化を進めることは難しい。
耐越水性を確保しつつ、維持管理しやすく、多自然型川づくりを低コストで実現できる工法が求められて いる。 堤防のすべての面がコンクリートで覆われた堤防。日本の美しい川づくりを標榜する国交省だが、越水対策としてどのような粘り強い堤防づくりを目指すのか問われている。
しかし、そうは言えども、コンクリートの堤防の上に立ってみると、妙に落ち着かない。
「兎追いし彼の山、小鮒釣りし彼の川」と謳い慣れた日本の景色はここにはないのだ。山高く水清しと表現さ れるような、日本の原風景は感じられないのである。
コンクリートで三方を固めることは否定しないものの、コンクリートをむき出しにするのは抵抗感がある。
せめてコンクリートの上に覆土するとか、多自然型護岸ブロックの活用ができないものかと思う。
越水による堤防の裏法面の侵食防止方法としても、コンクリートブロック張は最も有効であろう。
しかし、コンクリートブロック張と覆土工を合わせた工事費用は多額であり、とても国内の多くの河川の 強靭化を進めることは難しい。
耐越水性を確保しつつ、維持管理しやすく、多自然型川づくりを低コストで実現できる工法が求められて いる。 堤防のすべての面がコンクリートで覆われた堤防。日本の美しい川づくりを標榜する国交省だが、越水対策としてどのような粘り強い堤防づくりを目指すのか問われている。
登録:
投稿 (Atom)