東日本大震災で被災した岩手県や宮城県、福島県の河口に近い河川の堤防は、下の写真のように川表と天端、
川裏がコンクリートで固められている。津波の破壊力に耐えるためには、固いコンクリートで覆うのが最も安心
である。
しかし、そうは言えども、コンクリートの堤防の上に立ってみると、妙に落ち着かない。
「兎追いし彼の山、小鮒釣りし彼の川」と謳い慣れた日本の景色はここにはないのだ。山高く水清しと表現さ
れるような、日本の原風景は感じられないのである。
コンクリートで三方を固めることは否定しないものの、コンクリートをむき出しにするのは抵抗感がある。
せめてコンクリートの上に覆土するとか、多自然型護岸ブロックの活用ができないものかと思う。
越水による堤防の裏法面の侵食防止方法としても、コンクリートブロック張は最も有効であろう。
しかし、コンクリートブロック張と覆土工を合わせた工事費用は多額であり、とても国内の多くの河川の
強靭化を進めることは難しい。
耐越水性を確保しつつ、維持管理しやすく、多自然型川づくりを低コストで実現できる工法が求められて
いる。
堤防のすべての面がコンクリートで覆われた堤防。日本の美しい川づくりを標榜する国交省だが、越水対策としてどのような粘り強い堤防づくりを目指すのか問われている。
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