令和6年4月28日、国土交通省北上川下流河川事務所が管理する江合川へ行った。
昨年の1月に試験施工したエリアにも、2年目の春が到来していた。
イタドリが萌芽を始めて、菜の花(セイヨウカラシナ)が黄色い花を咲かせていた。
試験施工で張り替えた野芝は、遠くから見るとラクダ色の絨毯のように見える。しかし、近くで覗くと根元から芝の新芽が生えだしている。野芝の春はやや遅くやってくるようだ。
試験施工は3つのエリアに分かれている。A区間は既設堤防の法面を15㎝掘削し、土を入れ替えてからジオネットを敷き、その上に野芝を張ったエリアだ。(写真のいちばん奥の部分)
B区間は50㎝の土の入替えをしてジオネットを敷き、野芝を張ったエリア。(写真の中央部分)
C区間は段切りしてから50㎝の土の入れ替えをし、野芝を張ったエリア。(写真のいちばん手前の部分)
AとB区間では高さ10㎝ほどの赤茶色のイタドリが数本だけ萌芽していて、名の知らない黒い幼虫に葉が食べられていて葉が穴だらけになっている。数は前年の10分の1程度ぐらいしか生えておらず、昨年の勢いは見られない。なぜ、イタドリの萌芽の数が激減したのだろうか。
イタドリが地下茎から萌芽するには、母体となる地下茎に相当な量の養分が必要である。地下茎は光合成で作られた養分を蓄え、それを萌芽するときのエネルギーにする。しかし、昨年はイタドリの成長がジオネットで抑制され大きく育たなかったので、養分を蓄えることができなかったのだろう。しかも、ジオネットの目合いが1mmしかないので、養分を輸送する導管が機能不全になって地下茎に養分が届かなかったのかも知れない。
地下茎の養分が枯渇し、萌芽させることができなかったのだろう。そのような現象が地中で発生しているのかも知れない。ジオネットは2年か3年でイタドリを絶滅に追いやる可能性があるということになる。
一方、C区間では草丈40~50㎝のイタドリが端部に数本萌芽している。幹が1㎝近くに太っているので、草丈は夏に向けて1m以上に伸びるだろう。
実験エリアの端部で萌芽しているのは、実験エリアの外からイタドリの地下茎が侵入してきていることになる。しかし、ジオネットを敷いていないから、地下茎の侵入は阻止できない。地下茎は自由に成長ができるので、2~3年で元のようにイタドリが繁茂することが予想される。
イタドリは8月末をピークに成長を続けるが、すでに昨年の状況とは大きく様相が異なっている。ジオネットの効果が現われ始めているようだ。
奥からA、B、Cの各区間。いちばん手前のジオネットを敷いていないC区間にはイタドリが生えだしているのが見える。奥のAとB区間でも10㎝以下の小さなイタドリが何本か萌芽しているが、昨年の10分の1程度の発芽率になっている。
ジオネットを使用しているA区間で萌芽したイタドリ。ジオネットでコントロールされているので、草丈は10㎝以下になっている。さらに、黒い幼虫に喰われて葉が穴だらけになっている。前年のイタドリが枯れ木になって黒く残っている。今年はそれよりも大きくなれるのかが、大きな関心事である。
ジオネットを使用していないC区間のイタドリ。幹が太いので夏にかけて1mを超す草丈になると予想される。
国交省の北上川下流河川事務所の試験施工で使用した材料のカタログ。網目は1mmと狭いので、堤防が越水しても侵食されにくいと期待されている。このジオネットの継ぎ目は嵌合式になっていて、4枚重ねなので強度が高く、隙間がないので侵食されにくく、イタドリも侵入できなくなっている。一般的なシートは単純に重ね合わせているが、隙間からイタドリが発芽するのが課題だった。
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