2020年4月6日月曜日

耐越水シートの開発⑫ (溶着が不要な構造)

  土木研究所が過去に行った吸出し防止シートや遮水シートによる越水対策の実験では、シートの継目が弱点になるために溶着が必要であるとしている。継目に流水が集中し侵食されるからである。

 溶着というのは加熱して、シートを熔かして圧着することをいう。しかし、こうした高分子系の素材を高温で加熱すると、素材が脆化して時間の経過に伴い破断する現象が発生することがある。これは「熱劣化」という現象である。

 また、工事現場における加熱溶着は平坦な場所ではなく、傾斜のついた法面での作業になり、作業がきつく効率が低下する。

 さらに、雨天での作業は不可能になる。

 品質管理の行き届いた工場内で、シートの両側縁部を下の絵のように加工しておくと、現場では二枚のシートを嵌合させるだけで作業が完了する。念のため、段ボール用の封函機のステープラー(ホッチキスの一種)で、上面からステンレス製の針で縫い込むこともできる。雨が降っていても作業に支障はなく、継目の強度が格段に向上する。

ネットの側縁部を折り曲げて加工した、ジオネットのロール 




折り曲げた側縁部を咬み合わせてステンレス製の針を使って、シテープラー(ホッチキスの一種)で縫い、越流水が入り込まないようにする。これにより継目の溶着は不要になる。

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