2026年6月16日火曜日

歩道の上の崖の対策 ④

 ロックシェッドや抑止杭は高額で、違和感もあるので別の方法を考えることにした。

 発注者からは二段擁壁の提案があったが、擁壁どうしの離隔の制約があったり、民家まで床掘線が及ぶので矢板が必要になって民家への影響が大きい。また、バックホーは上部からの侵入が不可能で、下からの坂路を造成して侵入することとなり大がかりな工事になるので不採用とした。
 
 さらに、既存のブロック積み擁壁を取り壊して逆T擁壁の新設の案も提示されたが工事費が膨大となった。残ったのは切土補強土工(地山補強土工)である。

 切土補強土工の場合、マニュアルによれば切土勾配は地山が土砂の場合は一般的に1:0.5である。これは床掘の場合の勾配が1:0.5に準拠しているようだ。

 このことから切土勾配を1:0.5して吹付法枠工を施工し、鉄筋挿入をする方法を提案した。

 上部の鉄筋が民家のたたきコンクリートの下に食い込むが、民家の持ち主と管理協定を結んで無償占用の扱いにできるはずだ。

 そもそも、この法面を補強すれば民家の崩壊を防止でき、無料で安全な生活が送れるのだからそのぐらいのことは譲歩してくれるだろうし、地主に相談すれば快く受け入れられるはずだ。しかし、発注者は民地への影響を少なくすることを希望して1:0.3の案を推奨した。

 勾配が1:0.3の急こう配で切土するのは危険作業である。格子枠のひと桝づつ切り下げながら鉄筋を挿入する「逆巻き」での施工になるので、施工性は悪いしコストも大幅に増えることになる。

 また、1:0.3だと法面に竹藪が残るので法面の竹藪の管理が必要になる。それに掘削するときにあらかじめを切らないと表土がば根っこ一緒に崩れ落ちるかもしれないと説明したが、民家への影響を少なくすることを優先にされ、やむを得ず発注者の求める1:0.3で切土することとなった。

採用されなかった提案したものの採用されなかった切土勾配1:0.5の案。竹藪のほとんどが切り取られるので竹の再繁茂の恐れはなくなる。そして、安全な切土作業が可能である。鉄筋は民家のたたきコンクリートの地下まで及ぶが、地主にも家の崩落防止ができるというメリットがあるのだから管理協定で無償占用は十分可能と想定したが……。
 発注者が求めた1:0.3の案。民地への鉄筋の食い込み範囲は少ないが、切土作業は逆巻きになり施工性が悪くコストが高くなるし、法面に竹藪が残るので民家側から苦情が出ると道路管理者が法面に登り竹の伐採作業をすることになるのではと思った。管理しやすい法面を設計するのも設計者の任務である。

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