2018年12月24日月曜日

秋田自動車道(日沿道)に導入された省エネ型ロードヒーティング (スリップ事故防止対策)

 秋田自動車道(日沿道)の、大館北IC~小坂北IC(L=16.1㎞)間の4橋に、私が発案し開発した省エネ型ロードヒーティングが導入されたが、そのうちの支根刈沢橋(L=87m)での稼働状況が下の写真。

 撮影は、平成26年(2014年)の1月31日の午前8時40分すぎ。

 積雪深は50㎝を超している。さらに降雪が続いている。
                                          
 橋面にも念のため凍結防止剤を散布しているが、上の写真のように、橋面が殆ど雪に覆われている。凍結防止剤の融雪能力が降雪量に追いつかないとからである。

 しかし、その5分後には、下の写真のように、わだち状に黒い路面が現れる。
 
 

2014年1月31日 午前8時41分の状況。激しい降雪に、橋面の殆どが白くなる。

8時46分の状況。5分間でわだち状に敷かれた電熱線が雪を融かしているのが分かる。

2018年12月12日水曜日

省エネ型ロードヒーティング(スリップ事故防止対策)の効果 

 電熱線をわだち状に配線した、「省エネ型ロードヒーティング」の効果は下の写真のとおり。

 上の写真はロードヒーティングを導入していない日沿道の釈迦内橋。大館市の市街地に近いところにあり、比較的降雪量が少ないが、完全にアイスバーンになっている。この橋が供用されてから3年間で1件のスリップ事故があったという。

 下の大川目沢橋は釈迦内橋から5㎞ほど山間部に入った場所にあり、降雪量が多く気温も低い場所だが、省エネ型ロードヒーティングがわだち状に雪を融かしているのが分かる。

 わだちの中で一際黒く見える部分に、電熱線が埋められている。 どちらも平成25年1月30日の同時刻の状況だ。

 省エネ型ロードヒーティングを導入した4つの橋は、供用後3年経った時点でスリップ事故はまだ発生していない。
 
 
ロードヒーティングが未導入の日沿道の釈迦内橋。橋が冷えているので、降雪量が多いとアイスバーンになりやすい。


ロードヒーティングが稼働している日沿道の大川目沢橋。わだち状に融けている。撮影は上の写真と同時刻だ。 

2018年12月10日月曜日

公道における省エネ型ロードヒーティング(スリップ事故防止対策)の導入

 平成25年11月に開通した秋田自動車道(日沿道)の大館北IC~小坂北IC(L=16.1㎞)は、豪雪地帯にあり寒冷地帯である。

 この区間には5つの橋が配置されている。
 大館市街地に近い釈迦内橋は、トンネルと橋梁が連続していなかったのでロードヒーティングは採用されなかったが、山間部の大茂内沢橋や大川目沢橋、支根刈沢橋、新遠部川橋の4橋に導入されることになった。

 道路のわだち部分だけを暖めるという、前代未聞の発想の超省エネ型ロードヒーティング(ライン型ロードヒーティングとも呼ぶ)が、本格的に道路インフラに導入されることになる。

 

2018年12月3日月曜日

局所的な凍結による災害防止に最適な、超省エネ型ロードヒーティング

 近年は異常低温や集中的な大雪による交通障害が多発している。

 平成29年の1月には、米子自動車道の蒜山IC~江府IC簡の、縦断勾配が5%の箇所で凍結が発生し、スリップやスタックで大型車両が立ち往生して45時間も通行止めになった。

 翌月には、新東名高速道路の御殿場ジャンクションの高架橋(鋼床板)の橋面が凍結し、延長9キロ以上の滞留が発生した。

 平成30年1月、首都高の山手トンネル付近の縦断勾配8%の箇所で路面凍結が発生し、スリップした車両の滞留解除に約10時間を要した。

 こうしたことから国土交通省は、石田東生筑波大学名誉教授を委員長とする、「冬期道路交通確保対策検討委員会」を設けて、大雪時の道路交通確保対策の議論をしていて、中間報告が出たところである。

 私が考案した超省エネ型ロードヒーティング(ライン型ロードヒーティングとも呼ぶ)の最大の特徴は、既設の橋や道路に簡単に設置でき、しかもコストが従来の1/5て程度で済むこと。

 前述のように橋や急勾配、トンネルの出入り口、急カーブなどのスリップ多発箇所での対策には打って付けの工法と言える。


省エネ型ロードヒーティング(ライン型ロードヒーティング)を施工する(2)

 溝の中に電熱線を入れ込んだら、ニチレキ製の「クラックシールNX」を流し込む。

 電熱線の耐熱温度は180℃、クラックシールNXの溶解温度は180~220℃。このままだと、電熱線の被服層が熱で溶けてしまいそうだが、シール材を溝に流し込む時点では冷やされて180℃以下になるので問題ない。

 クラックシールNXは夏の高温時でもべたつかないし、低温時には割れにくいという特質がある。耐候性も他社製品よりも高いし、クッション性もある。

 電熱線はクラックシールに囲まれて保護されるので、破断の可能性が減少することになる。

 この後、表層を舗設し、溝は密閉される。