2018年5月31日木曜日

枯れるイタドリ

 官舎の空き地に樹脂製の網の「トリカルネット」を敷いて2ヶ月。イタドリは発芽したものの、途中で枯れだした。
 
   最初にイタドリの葉っぱにマダラ模様が出現して、徐々に枯れていった。

  イタドリの幹の外皮の直下に「維管束」が配列されている。葉っぱが製造した養分を運ぶ「師管」と、地中の水分を運ぶ「路管」で構成されているという。この両方の管が網の目で圧迫されるからだろう。
 
 首を絞められると植物も動物も生きては行けないということなのだろう。


枯れたイタドリ。

2018年5月23日水曜日

イタドリ対策を発案

 草丈が2~3mクラスのイタドリの幹はかなり太い。幹が細いと丈の高い草は風圧で倒れてしまうからだろう。

 試しに堤防に行ってイタドリの草丈と幹の太さを測ってみると、草丈は幹の直径の約100倍の比例関係であることが分かった。2mのイタドリは直径が約2㎝、20㎝のものは幹径2㎜だった。

  堤防を点検するとき支障にならない草の丈は40㎝程度と言われる。
 ということは草の幹を何らかの方法で、直径4㎜以下にすることができればいいのではないか。

 例えば、鉢植えの底に敷いている黒いプラスチック製の網が使えないか。
 直ぐにホームセンターに行ってみると、直径が2.5㎜のネットがロール状になって量り売りしていた。品名は「トリカルネット」だった。1m分だけ購入することとした。
 
 河川敷に行ってイタドリの地下茎を掘り出し、官舎の空き地に植える。地表面に買ったばかりの「トリカルネット」を敷く。果たしてイタドリは何㎝まで伸びるだろうか?

樹脂ネットを通り抜けてイタドリが発芽した。問題はどこまで成長できるかである。

2018年5月17日木曜日

イタドリ対策の現状と課題

 イタドリの繁茂は堤防点検作業に支障となるほか、堤防の弱体化や除草のコストアップを招くことから、今まで次のような対策が講じられてきたものの恒久的な対策になっていなかった。

(多数回刈り)
 北海道開発局の河川事務所が取り組んだ方法で、年に6回も刈り込むもの。イタドリは徐々に衰退していくという。しかし、予算的な制約から全国的に堤防除草は年に2回というルールになり取り組みは廃止された。

(除草剤の使用)
  国交省の四国や東北地方建設局(現地方整備局)が試行した取り組みで、堤防全体に除 草剤を散布する方法。効果はあるが毎年散布が必要なことと、河川が上水道の水源などに使われていることから全省で除草剤は使用禁止となっている。

(芝の張り替え)
  堤防を50~80㎝程掘り返して新しい野芝を張る方法で一般的なもの。しかし、イタドリの地下茎はそれよりも深いところにあり、少しでも地下茎が残ると再生することが多く、対策の見直しが検討されていた。
イタドリで覆われた堤防。こうなると点検員はイタドリをかき分けて歩かねばならず、堤防点検は不可能だ。

2018年5月11日金曜日

厄介モノのイタドリ

 土で作られた堤防はそのままにしておくと、雨水や洪水に侵食されてしまうので、東北地方では野芝で覆っている。他の地域ではチガヤとかケンタッキーブルーグラスなどを使用している。

 野芝が選ばれるのは、根が地面で緻密に生長し雨水や洪水の侵食防止効果が期待できるからである。

  オオイタドリは芝を突き破って発芽し、地上高2~3mまで成長する。主に北海道や北東北などで繁茂している。オオイタドリが繁茂すると堤防の点検が困難になる。さらに日影になったりアレロパシーの影響で芝を枯らしてしまう。

 芝が枯れると堤防の表面が裸地化し、雨が降るとガリ侵食が発生し堤防を危険な状態にしてしまう。地下茎は地下2m近くまでのびている。

 枯れた芝の張り替えは50㎝ほど堤防を掘削して、イタドリの根を除去してから再び盛土して芝を張ることになる。

 しかし、地中に残ったイタドリの地下茎から新芽が出て、2~3年で元の群生状態になってしまう。地下茎をすべて除去するには、堤防を丸ごと掘り返さなければならないが、現状の予算では到底無理な話である。

  イタドリは世界の侵略的外来種に指定されている。19世紀に日本からイギリスに観賞用に持ち込まれたが、旺盛な繁殖力にイギリス政府も手をやいているという。

このブログでは、堤防を管理する上で厄介者モノとなっているイタドリを、ジオネット方式(高密度ポリエチレン製のネット)でコントロールする手法にたどり着くまでの経緯を述べていきます。
地下2mまで延びたイタドリの地下茎。少しでも取り残すとそこから芽が出て再生するので厄介だ。
筆者が開発した、イタドリなどの強害雑草の成長を抑制するネット。
筆者が開発したジオネット方式と、従来方式(深さ50㎝の土の入れ替え+野芝の張芝)とのライフサイクルコストの比較。

2018年5月10日木曜日

堤防のイタドリ

 2015年の春ごろ、職場の回覧資料を見ていると、堤防のイタドリ対策を行っている出張所の報告が2件あった。

 ひとつはイタドリにより裸地化が進行している堤防の法面を掘り返し、芝を張り替えたものの、数年もすると地中に残ったイタドリの地下茎から元のようにイタドリが繁茂してしまったというもの。
 
 もうひとつは、イタドリを刈り取ってその後に防草シートを張り付けると、地表部分の地下茎が枯れたとの報告であった。しかし、堤防を守るはずの芝も枯れるのではないかと思う。

 イタドリは草丈が2~3mまで伸び周りの芝や草を枯らしてしまう。イタドリのせいで日射が悪くなるからという説と、アレロパシーと呼ばれる他の植物を排除するホルモンを放出するからとの説があるが、芝などが枯れて地表面が露出すると、洪水の時に堤防が洗掘されやすくなり弱点となる。
 
 芝を張り替えても再びイタドリが繁茂したのではイタチごっこになってしまい、1m2あたりに1万円近く費やす税金が無駄になってしまう。何かいい方法はないかと思案が始まった。

堤防のイタドリを駆除するためにシートを被せたが、イタドリだけでなく芝も枯れることになる。

2018年5月7日月曜日

はじめまして

 昨年(平成29年、2017年)、国交省を定年退職し、その後、今の仙台市内の会社で禄を食んでおります。
 
 20年ほど前に技術士の資格を取得したものの、その後は技術士らしいことを何一つしてこなかったことを悔やみ、拙くても自分が発案した技術を後生に伝承できれば、僅かでも社会貢献になるのではないかと、このブログを立ち上げることにしました。
 
 国交省の木っ端役人として約40年間在職し、道路の計画から工事発注、管理など組織の最前線で対応してきました。

 若い頃、自分が編み出した技術で人を喜ばせたり社会貢献できれば、それが技術屋としての本懐ではないかと夢を抱いておりましたが、いつしかその志も忘れてしまい、ぱっとしない人生を続けてきました。

 しかし、五十路に入り自分の人生の先が見えかけた頃、忘れかけていた夢を思い出して一念発起。ロードヒーティングの大幅なコスト縮減方法や、堤防や道路の雑草対策手法などを発案してきました。

 現在62歳、脳みそがだんだん衰え、記憶力や想像力がいつまで持つのか分かりません。
 今のうちに自分が発案した技術などを広く情報発信して、社会に少しでも貢献できれば技術屋の端くれとして幸せだと思っています。拙い文章ですが暫くの間、お付き合いいただければ幸いです。




日沿道で実働中の超省エネ型ロードヒーティング (「ライン型ロードヒーティング」と呼ばれている)。
わだち部分だけを融雪対象にしているので、工事コストと電力料が従来工法の1/5で済む。