2026年6月26日金曜日

歩道の上の崖の対策 ⑤

 この設計を担当したのが2023年。翌年の晩秋から工事が始まった。現場は私が勤務する会社から徒歩で10分足らずの場所である。

   地山補強土工と出会って2年の知識で行った設計で、現場が動き出すことになった。
 
 竹藪の伐採作業。竹には1本づつ番号札が付けられていた。補償費の精算のためだろうか。
現れた崖の全貌。崖の天端線は直線状になっていた。崖が発生した原因を発注者は雨水による侵食だと断定したが、崖の天端線が直線状であり自然現象で形成されたという説は信じがたいと思った。下の道路が開通される前はブロック積み擁壁の天端が地盤線で民家が建っていたから、住民が敷地の確保のために切土した跡が崖として残ったという推測が自然だろう。
表土の厚さは1.5mほどあり竹の地下茎でびっしりと固められているので、切土しようとすると芋づる式に表土と地下茎が一緒に引っ張られ、1:0.3の切土法面になるはずが緩い勾配にになってしまった。このため工事は一時中断することになった。
切りかけたものの工事が中断したため、法面は長い間放置されてしまった。崩落の危険性が高いとされた法面を急勾配で切土しそのまま長期間放置するのはとても危険な行為である。いつ崩落しても不思議でない。もし、法面が下の歩道の歩行者に崩れたらたいへんなことになる。そう思って心配していた時、発注者から1:0.5勾配で切り直ししたいので法面の安定解析を至急行って欲しいとの依頼が入る。1:0.5勾配は私のお勧めだったので安定解析は計算済だ。1:0.3を1:0.5に緩くすると抑止力が少なくて済むので鉄筋の長さは0.5m短くなる結果だった。私の忠告に耳を傾けることをしなかった発注者に腹が立った。
けっきょく1:0.5勾配で掘削した法面の状況。竹の1:0.5勾配で切土をやり直すと竹の地下茎はきれいに除去できた。鉄筋挿入工の鉄筋はたたきコンクリートの下まで伸びることになったが、家主と管理協定を交わして処理したらしい。 最初から1:0.5勾配にしていればよかったのに……。切土作業が始まって3か月も放置されていた法面だったが、崩れもせずによく耐えてくれた。ごくろうさん。

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