2018年7月16日月曜日

不確実な自然の芝

 上の写真は、施肥や除草などの管理が行き届いている公園の芝生。堤防の芝もこのように管理されていると、洪水で侵食されにくいと思いがちである。

 しかし一見立派そうに見える公園の芝生は下の写真のように、芝は疎らになっていることが多い。

  洪水は、芝生の根が疎らな部分を洗掘する。
 
 ジオネットは疎らな部分はない。工場で造られる均一な目合いなので、耐侵食性が天然の芝生よりも高い。
管理が行き届いて、緻密に生えているように見える公園の芝生。
しかし、接近すると芝が生えていない部分がたくさんある。この状態では洪水に負けてしまう。

2018年7月12日木曜日

ジオネットで堤防の耐侵食性を向上

    堤防に芝を張るのは、芝の根が緻密に組み合って、洪水に対抗できるからだ。
    流速が2m/secまでは洗掘されにくいという。

     ジオネットの1㎜メッシュは芝の根よりも緻密だ。

     国土交通省の元技監の池内幸司氏が、リバーフロント研究所にいた頃の研究で、「植生とシート材を用いた護岸工法に関する実験的研究」では、ジオネットに似たメッシュシートで侵食性の実験をしたところ、流速が3m/secまでは耐えられるという結果だった。

   つまり、芝よりも耐侵食性が高いということになる。
  
   天然の芝の根を、均一で緻密に組み合せた状態に成長させることは困難である。必ずムラができる。根が疎らな部分から洗掘される。

  一方、工場製品であるジオネットは、当然ながら均一性を確保できる製品である。耐久性も半永久的だ。

  リバーフロント研究所の池内氏が、メッシュシートと芝を組み合わせるとの実験によると、流速が5m/secまで耐侵食性が向上したという。
 
  人工的な芝の根であるジオネットは、堤防表面の侵食防止ができ、洪水に強い網だ。

2018年7月4日水曜日

阿武隈川でのイノシシ対策(3)

 イノシシに掘り返されにくいネットは、10㎜と1㎜のどちらか。阿武隈川の堤防で調べる。

 10㎜の目合いのジオグリットや、1㎜の目合いのジオネットを敷いても、イノシシは掘り返して草の根を食べようとして、ネットの上の張芝を鼻でこする。

 イノシシはどうやって穴を掘るか。ユーチューブにイノシシの穴掘りの動画を見ると、鼻を土だらけにして、地面を何度も鼻をこすっている。牙は使わない。

 写真1は10㎜の目合いのジオグリット。ネットが浮き上がるくらいに、ネットの裏側まで掘られている。掘るというよりも、土ごと草の根を器用に吸っているようだ。

 一方、写真2の1㎜のジオネットでは、ネットの裏までは掘られていない。そして、剥がされた野芝の面積も比較的少ない。
 
 さすがに1㎜のネットだと、土も草の根も吸い込むのは難しいということなのだろう。

 


写真1 イノシシが露出させた10㎜のジオグリット。ネットの裏側の土も掘られている。

写真2 1㎜のジオネット。ネットの裏側は掘られていない。

2018年7月3日火曜日

阿武隈川でのイノシシ対策(2)

野芝の下にジオネットを敷き、イノシシ対策の効果を見る。

ポールより下側がジオネットによる対策済みのエリアで、上は未対策のエリア。

未対策部分ではイノシシによる掘り返しの跡が多く見られ、ジオネットの効果がはっきりと確認できた。


丸森町の阿武隈川の堤防。イノシシによる穴が無数にある。(撮影は平成30年2月23日)

2018年6月29日金曜日

阿武隈川でのイノシシ対策(1)

    ジオネットでイノシシ対策ができないかと、平成29年1月、国土交通省の角田出張所から、私の職場だった秋田河川国道事務所に問い合わせメールがあった。

   そこで、渡良瀬川河川事務所がやっている10㎜の目合いのジオグリットと、私が推奨するジオネットの1㎜メッシュの2種類を試験施工することになった。

 阿武隈川が流れる宮城県丸森町は、近年イノシシ被害が多発している。

  試験施工の対象地は、南斜面の堤防。イノシシの掘り起こしは冬場に多い。餌が枯渇する冬に、日当たりのいい堤防法面を20~30㎝程度掘り起こし、草の根を食べ荒らすという。
 
   写真は施工6ヶ月後の平成29年8月のもの。
 中央部の草丈が低い箇所がネットを敷いた箇所で、草丈は周りよりも大幅に低くなっている。10㎜と1㎜の違いはまだ明確には現れていない。



宮城県丸森町の阿武隈川の堤防。上のポールより下側がネットを敷いた部分。草丈の違いがはっきりと分かる。このままだと除草が不要になり、メンテナンスフリーが実現する。

2018年6月28日木曜日

イノシシ対策と雑草抑制を兼ねる

    国土交通省の渡良瀬川河川事務所管内の堤防では、イノシシによる掘り起こしが多発し対策工事が進められている。

   平成28年度の補正予算で桐生川3.4㎞、渡良瀬川2.0㎞にわたって、樹脂製のネットが布設された。 (詳しく桐生出張所のホームページ「きりゅう 河川通信」を参照)
  http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000696722.pdf 
 この事務所では、その後も継続してジオグリットによる補強対策が行われている。
 
   対策手法は、私が取り組んでいるジオネット(ネトロンシート)によるイタドリなどの雑草抑制対策と同様だが、渡良瀬川で使われているネットは、ジオグリットと呼ばれる補強土壁用の高強度のネットで、目合いは8~10㎜ぐらいである。

  このくらい目合いが広くなると雑草の抑制効果はほとんど無い。あくまでもイノシシ対策だけが目的になっているからだ。

    しかし、どうせならばイノシシ対策と雑草抑制を兼ねた方がベターだ。
  ジオネット(ネトロンシート1㎜メッシュ)は、それが実現できると考えている。

2018年6月25日月曜日

堤防のセイヨウアブラナの対策

    南東北以南の堤防では、春になると菜の花が咲き風物詩となって市民から歓迎されているが、河川管理上では大きな課題になっている。

   セイヨウアブラナ(セイヨウカラシナ)は越冬のための養分を蓄えようと、地中表面にカブ状の根を形成させる。この根が堤防表面の腐葉土化を招き、堤防を弱体化させる。腐葉土化が進むと大量のミミズが発生し、それを餌とするモグラやネズミが住み着き堤防に多くの穴を掘る。

   また、モグラやネズミを餌とするキツネもやってくる。
 
   ブワブワに腐葉土化した堤防表面や、モグラやキツネが堤防を穴だらけにすると、洪水のときに大きな弱点となることが考えられる。河川を管理する国土交通省の職員は、毎年洪水の発生時期前にブワブワや穴がないか点検をしなければならない。
 
  ネトロンシートと呼ばれるジオネット(高密度ポリエチレン製の網)はセイヨウアブラナの生育を阻止してカブ状の根の形成を防止できる。さらに、ネトロンシート(㈱タキロンシーアイシビル)はモグラやキツネの爪よりも硬く強度があるので、これらの動物による穴掘りにも対抗でき、国交省の岩手河川国道事務所や仙台河川国道事務所が管理する河川堤防で試験施工されている。
堤防に掘られたキツネの巣。洪水になると弱点になる。