国交省が5箇年計画で整備を進めている危機管理型ハード対策は、堤防の川裏の法尻をブロックで補強するものである。
しかし、法尻をブロックで補強しても、東京理科大学の実験では法肩に近い箇所の法面が最初に侵食されることが分かっている。これは、河川側から流れ落ちる越流水が最初に衝突する場所だからである。
法面の侵食が進むと越流水が張ブロックの下側に流れ込む。行き場が無くなった洪水流は周辺を急激に侵食して、堤防の決壊を早めてしまう可能性がある。
下図は2016年2月に作成したものであるが、法肩から法尻ブロックまでの法面の耐侵食性の向上を急ぐ必要がある。
国交省に40年間在職し、堤防や道路の厄介モノであるイタドリやセイタカアワダチソウを、ジオネットと呼ばれる樹脂製の網で、恒久的に成長を抑制するコスト削減手法を開発して特許取得したこと。また、従来の5分の1程度のコストや電力量で融雪効果が発揮できる、超省エネ型ロードヒーティング(別名ライン型ロードヒーティング)の開発。そして、技術士として挑んできた歩道や擁壁、道路の防草、法面の湧水対策などの課題などについて伝承し、少しでも社会に貢献できればと願っています。 (連絡先 atk.shimazu@gmail.com)
2018年7月26日木曜日
2018年7月25日水曜日
堤防の越水対策の懸念
5年間で630㎞も整備する。
前述したが、越水による堤防の侵食は法尻だけではない。法肩も同時に侵食されると、河川工学の権威や、過去の災害が証明している。
しかし、張ブロックによる補強は法尻から2mに限定されている。国土交通省の国総研が、水理実験を繰り返して構造緒元を決定したが、なぜ法尻から2mなのかの科学的根拠は示されていない。法尻から2mするための水理実験をしたとの話も聞いていない。
越水対策工事が完了した下の写真。張ブロックの上部は埋戻ししたままで、耐侵食性が期待される芝はまだ生えていない。
もし、今、この場所で越水が発生したらどうなるだろうか。
洪水流は堤防の弱い部分から侵食する。埋め戻したままの芝の生えていない箇所は、大丈夫だろうか。越水流で法肩付近の法面が侵食されて、水流が法尻ブロックの下に回り込むことが容易に推測されるのである。
危機管理型ハード対策としての法尻ブロックが、果たして越水に耐えられるのか、とても心配である。
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| 完成した越水対策の法尻ブロック。ブロックの上部が裸地化しているので、もし、越水が発生したら最初に侵食されそうだ。 |
2018年7月16日月曜日
越水による堤防侵食は法尻だけか?
堤防の破堤の原因で最も多いのは、越水である。越水が原因と思われる破堤は全体の半数以上といい、ある統計では8割ともいう。
洪水が越水をすると、最初に侵食されるのはどこか。
河川工学の中島秀雄氏の「図説 河川堤防」では、法肩と法尻が同時に侵食されて徐々に拡大していくとしている。
2004年の新潟豪雨の越水破堤でも、中島氏の定説と同様に法肩と法尻が最初に侵食されたとのことである。
2015年の関東・東北豪雨でも下の写真のように、法肩が侵食された痕跡が残っていた。法肩も法尻も断面形状の変化点である。形状の変化点で浸食や洗掘が起こりやすいということなのだろう。
東京理科大学が2015年11月17日に、大型水理実験場で行った公開実験の動画がユーチューブで公開されているが、その実験でも、法肩から侵食が始まっているのが分かる。
(ユーチューブの「堤防決壊の公開実験」)
https://www.youtube.com/watch?v=jiuuj0WcPq4
洪水が越水をすると、最初に侵食されるのはどこか。
河川工学の中島秀雄氏の「図説 河川堤防」では、法肩と法尻が同時に侵食されて徐々に拡大していくとしている。
2004年の新潟豪雨の越水破堤でも、中島氏の定説と同様に法肩と法尻が最初に侵食されたとのことである。
2015年の関東・東北豪雨でも下の写真のように、法肩が侵食された痕跡が残っていた。法肩も法尻も断面形状の変化点である。形状の変化点で浸食や洗掘が起こりやすいということなのだろう。
東京理科大学が2015年11月17日に、大型水理実験場で行った公開実験の動画がユーチューブで公開されているが、その実験でも、法肩から侵食が始まっているのが分かる。
(ユーチューブの「堤防決壊の公開実験」)
https://www.youtube.com/watch?v=jiuuj0WcPq4
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| 東京理科大学の越水破堤の実験状況。ユーチューブに動画が掲載されている。 |
不確実な自然の芝
2018年7月12日木曜日
ジオネットで堤防の耐侵食性を向上
堤防に芝を張るのは、芝の根が緻密に組み合って、洪水に対抗できるからだ。
流速が2m/secまでは洗掘されにくいという。
ジオネットの1㎜メッシュは芝の根よりも緻密だ。
国土交通省の元技監の池内幸司氏が、リバーフロント研究所にいた頃の研究で、「植生とシート材を用いた護岸工法に関する実験的研究」では、ジオネットに似たメッシュシートで侵食性の実験をしたところ、流速が3m/secまでは耐えられるという結果だった。
つまり、芝よりも耐侵食性が高いということになる。
天然の芝の根を、均一で緻密に組み合せた状態に成長させることは困難である。必ずムラができる。根が疎らな部分から洗掘される。
一方、工場製品であるジオネットは、当然ながら均一性を確保できる製品である。耐久性も半永久的だ。
リバーフロント研究所の池内氏が、メッシュシートと芝を組み合わせるとの実験によると、流速が5m/secまで耐侵食性が向上したという。
人工的な芝の根であるジオネットは、堤防表面の侵食防止ができ、洪水に強い網だ。
流速が2m/secまでは洗掘されにくいという。
ジオネットの1㎜メッシュは芝の根よりも緻密だ。
国土交通省の元技監の池内幸司氏が、リバーフロント研究所にいた頃の研究で、「植生とシート材を用いた護岸工法に関する実験的研究」では、ジオネットに似たメッシュシートで侵食性の実験をしたところ、流速が3m/secまでは耐えられるという結果だった。
つまり、芝よりも耐侵食性が高いということになる。
天然の芝の根を、均一で緻密に組み合せた状態に成長させることは困難である。必ずムラができる。根が疎らな部分から洗掘される。
一方、工場製品であるジオネットは、当然ながら均一性を確保できる製品である。耐久性も半永久的だ。
リバーフロント研究所の池内氏が、メッシュシートと芝を組み合わせるとの実験によると、流速が5m/secまで耐侵食性が向上したという。
人工的な芝の根であるジオネットは、堤防表面の侵食防止ができ、洪水に強い網だ。
2018年7月4日水曜日
阿武隈川でのイノシシ対策(3)
イノシシに掘り返されにくいネットは、10㎜と1㎜のどちらか。阿武隈川の堤防で調べる。
10㎜の目合いのジオグリットや、1㎜の目合いのジオネットを敷いても、イノシシは掘り返して草の根を食べようとして、ネットの上の張芝を鼻でこする。
イノシシはどうやって穴を掘るか。ユーチューブにイノシシの穴掘りの動画を見ると、鼻を土だらけにして、地面を何度も鼻をこすっている。牙は使わない。
写真1は10㎜の目合いのジオグリット。ネットが浮き上がるくらいに、ネットの裏側まで掘られている。掘るというよりも、土ごと草の根を器用に吸っているようだ。
一方、写真2の1㎜のジオネットでは、ネットの裏までは掘られていない。そして、剥がされた野芝の面積も比較的少ない。
さすがに1㎜のネットだと、土も草の根も吸い込むのは難しいということなのだろう。
10㎜の目合いのジオグリットや、1㎜の目合いのジオネットを敷いても、イノシシは掘り返して草の根を食べようとして、ネットの上の張芝を鼻でこする。
イノシシはどうやって穴を掘るか。ユーチューブにイノシシの穴掘りの動画を見ると、鼻を土だらけにして、地面を何度も鼻をこすっている。牙は使わない。
写真1は10㎜の目合いのジオグリット。ネットが浮き上がるくらいに、ネットの裏側まで掘られている。掘るというよりも、土ごと草の根を器用に吸っているようだ。
一方、写真2の1㎜のジオネットでは、ネットの裏までは掘られていない。そして、剥がされた野芝の面積も比較的少ない。
さすがに1㎜のネットだと、土も草の根も吸い込むのは難しいということなのだろう。
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| 写真1 イノシシが露出させた10㎜のジオグリット。ネットの裏側の土も掘られている。 |
| 写真2 1㎜のジオネット。ネットの裏側は掘られていない。 |
2018年7月3日火曜日
阿武隈川でのイノシシ対策(2)
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