令和6年4月28日、国土交通省北上川下流河川事務所が管理する江合川へ行った。
昨年の1月に試験施工したエリアにも、2年目の春が到来していた。
イタドリが萌芽を始めて、菜の花(セイヨウカラシナ)が黄色い花を咲かせていた。
試験施工で張り替えた野芝は、遠くから見るとラクダ色の絨毯のように見える。しかし、近くで覗くと根元から芝の新芽が生えだしている。野芝の春はやや遅くやってくるようだ。
試験施工は3つのエリアに分かれている。A区間は既設堤防の法面を15㎝掘削し、土を入れ替えてからジオネットを敷き、その上に野芝を張ったエリアだ。(写真のいちばん奥の部分)
B区間は50㎝の土の入替えをしてジオネットを敷き、野芝を張ったエリア。(写真の中央部分)
C区間は段切りしてから50㎝の土の入れ替えをし、野芝を張ったエリア。(写真のいちばん手前の部分)
AとB区間では高さ10㎝ほどの赤茶色のイタドリが数本だけ萌芽していて、名の知らない黒い幼虫に葉が食べられていて葉が穴だらけになっている。数は前年の10分の1程度ぐらいしか生えておらず、昨年の勢いは見られない。なぜ、イタドリの萌芽の数が激減したのだろうか。
イタドリが地下茎から萌芽するには、母体となる地下茎に相当な量の養分が必要である。地下茎は光合成で作られた養分を蓄え、それを萌芽するときのエネルギーにする。しかし、昨年はイタドリの成長がジオネットで抑制され大きく育たなかったので、養分を蓄えることができなかったのだろう。しかも、ジオネットの目合いが1mmしかないので、養分を輸送する導管が機能不全になって地下茎に養分が届かなかったのかも知れない。
地下茎の養分が枯渇し、萌芽させることができなかったのだろう。そのような現象が地中で発生しているのかも知れない。ジオネットは2年か3年でイタドリを絶滅に追いやる可能性があるということになる。
一方、C区間では草丈40~50㎝のイタドリが端部に数本萌芽している。幹が1㎝近くに太っているので、草丈は夏に向けて1m以上に伸びるだろう。
実験エリアの端部で萌芽しているのは、実験エリアの外からイタドリの地下茎が侵入してきていることになる。しかし、ジオネットを敷いていないから、地下茎の侵入は阻止できない。地下茎は自由に成長ができるので、2~3年で元のようにイタドリが繁茂することが予想される。
イタドリは8月末をピークに成長を続けるが、すでに昨年の状況とは大きく様相が異なっている。ジオネットの効果が現われ始めているようだ。
奥からA、B、Cの各区間。いちばん手前のジオネットを敷いていないC区間にはイタドリが生えだしているのが見える。奥のAとB区間でも10㎝以下の小さなイタドリが何本か萌芽しているが、昨年の10分の1程度の発芽率になっている。
ジオネットを使用しているA区間で萌芽したイタドリ。ジオネットでコントロールされているので、草丈は10㎝以下になっている。さらに、黒い幼虫に喰われて葉が穴だらけになっている。前年のイタドリが枯れ木になって黒く残っている。今年はそれよりも大きくなれるのかが、大きな関心事である。
ジオネットを使用していないC区間のイタドリ。幹が太いので夏にかけて1mを超す草丈になると予想される。
国交省の北上川下流河川事務所の試験施工で使用した材料のカタログ。網目は1mmと狭いので、堤防が越水しても侵食されにくいと期待されている。このジオネットの継ぎ目は嵌合式になっていて、4枚重ねなので強度が高く、隙間がないので侵食されにくく、イタドリも侵入できなくなっている。一般的なシートは単純に重ね合わせているが、隙間からイタドリが発芽するのが課題だった。
国交省に40年間在職し、堤防や道路の厄介モノであるイタドリやセイタカアワダチソウを、ジオネットと呼ばれる樹脂製の網で、恒久的に成長を抑制するコスト削減手法を開発して特許取得したこと。また、従来の5分の1程度のコストや電力量で融雪効果が発揮できる、超省エネ型ロードヒーティング(別名ライン型ロードヒーティング)の開発。そして、技術士として挑んできた歩道や擁壁、道路の防草、法面の湧水対策などの課題などについて伝承し、少しでも社会に貢献できればと願っています。 (連絡先 atk.shimazu@gmail.com)
2024年5月7日火曜日
2023年10月11日水曜日
堤防でイタドリの成長抑制の試験施工を行う(5) (堤防のイタドリ・ブタクサ・セイヨウカラシナ・セイタカアワダチソウ・セイバンモロコシ・アレチウリ・モグラ・キツネ・イノシシ対策に挑む)
国土交通省が管理する江合川の試験施工箇所の9月29日時点の状況。
前回の観察日は8月16日だったので、それから約40日経過している。
試験施工エリアのイタドリは、8月の時は葉っぱが青かったが、今回はほとんどが色づいている。中には枯れてしまい幹しか残っていないものもある。一方で試験施工エリア外のイタドリは葉の青いのが多く残っている。
どうして同じ季節で、枯れたり色づくイタドリと、青青と元気なイタドリがあるのだろうか?
ジオネット越しに生えたイタドリは維管束が1mmと細くなるので、葉緑素で作ったデンプンを地下に送ることができなくなる。
維管束は、根から吸い上げた水分や養分が通る道管(どうかん)と、葉でつくられた栄養分が全身に運ばれるための師管(しかん)がたくさん集まって束になっているところだが、目合いが1mmのジオネットがボトルネックになって、それ以上太ることができないのだ。
イタドリは地下の深いところに地上で生成された養分を貯めておく「貯蔵根」があり、春になると地上部の発芽のために「貯蔵根」から養分が輸送される。その役目を担うのが維管束である。人間で例えるならば臍の緒ということになる。
臍の緒がジオネットで1mm以下に狭められると、地中と地上との水分や養分の輸送が困難になり、地上のイタドリは大きくなれない。葉から送られてくる養分はジオネットの上部のイタドリの根に貯めるしかないから大きく成長することはできない。
ジオネットの上の厚さ1㎝程度の土壌では、盆栽鉢の植物のように成長が難しいはずだ。来夏、イタドリがどうなるかを興味深く観察するつもりだ。
江合川の試験施工の状況。(2023.9.29) ジオネットを通り抜けて萌芽したイタドリたちは殆ど枯れてしまっている。野芝の下に敷いたジオネットがイタドリの成長を抑制していることが確認できた。この効果が何年続くのか、長期スパンでの観察を続けるつもりだ。 枯れたイタドリの幹。周りのイタドリはまだ枯れてはいないのに、なぜ、早々と枯れてしまったのか謎である。来夏、枯れたイタドリの根元から新たに萌芽すると思われるが、その後、どのように成長するのかを見極めたい。
前回の観察日は8月16日だったので、それから約40日経過している。
試験施工エリアのイタドリは、8月の時は葉っぱが青かったが、今回はほとんどが色づいている。中には枯れてしまい幹しか残っていないものもある。一方で試験施工エリア外のイタドリは葉の青いのが多く残っている。
どうして同じ季節で、枯れたり色づくイタドリと、青青と元気なイタドリがあるのだろうか?
ジオネット越しに生えたイタドリは維管束が1mmと細くなるので、葉緑素で作ったデンプンを地下に送ることができなくなる。
維管束は、根から吸い上げた水分や養分が通る道管(どうかん)と、葉でつくられた栄養分が全身に運ばれるための師管(しかん)がたくさん集まって束になっているところだが、目合いが1mmのジオネットがボトルネックになって、それ以上太ることができないのだ。
イタドリは地下の深いところに地上で生成された養分を貯めておく「貯蔵根」があり、春になると地上部の発芽のために「貯蔵根」から養分が輸送される。その役目を担うのが維管束である。人間で例えるならば臍の緒ということになる。
臍の緒がジオネットで1mm以下に狭められると、地中と地上との水分や養分の輸送が困難になり、地上のイタドリは大きくなれない。葉から送られてくる養分はジオネットの上部のイタドリの根に貯めるしかないから大きく成長することはできない。
ジオネットの上の厚さ1㎝程度の土壌では、盆栽鉢の植物のように成長が難しいはずだ。来夏、イタドリがどうなるかを興味深く観察するつもりだ。
江合川の試験施工の状況。(2023.9.29) ジオネットを通り抜けて萌芽したイタドリたちは殆ど枯れてしまっている。野芝の下に敷いたジオネットがイタドリの成長を抑制していることが確認できた。この効果が何年続くのか、長期スパンでの観察を続けるつもりだ。 枯れたイタドリの幹。周りのイタドリはまだ枯れてはいないのに、なぜ、早々と枯れてしまったのか謎である。来夏、枯れたイタドリの根元から新たに萌芽すると思われるが、その後、どのように成長するのかを見極めたい。
2023年10月3日火曜日
堤防でイタドリの成長抑制の試験施工を行う(4) (堤防のイタドリ・ブタクサ・セイヨウカラシナ・セイタカアワダチソウ・セイバンモロコシ・アレチウリ・モグラ・キツネ・イノシシ対策に挑む)
宮城県土木部が管理する広瀬川にはイタドリが繁茂している箇所が多い。草丈は3mに及ぶものもある。
堤防の除草は年に1回。今年は8月の下旬だった。以前は年に2回刈ってくれたが、予算不足で減らされたのだろう。
写真の場所は近所の住人たちの散歩道となっている。夏の暑い日は火照ったアスファルト舗装を避けて、人間や犬たちがこの小径を通る。
しかし、初夏にはイタドリなどが3m近くまで伸び、ジャングルになって小径を塞いでしまいだれも通らなくなる。
3mに成長したイタドリは、幹が樹木のように固くなり鎌では刈れなくなる。数年前から時々ボランティアで草刈りをしていたが、固くなったイタドリで鎌がすぐに切れなくなったり変形してしまう。草刈りを2週間ほどサボっていると、小径はジャングルに変貌してしまう。
草刈りをしなくても、何時でも散歩できるようになれば住民たちが喜ぶだろう。自然のままの広瀬川は気持ちがいい。車を気にしないで自然を堪能できる。河原には木が茂り、せせらぎの音に混じって小鳥たちのさえずりが聞こえる。河川愛護の気持ちも生まれるだろう。それに、堤防点検もスムーズにできるはずだ。
住民から親しまれているこの小径がジャングルにならないようにしたい、そんな想いで昨年(2022年)の春に、堤防の法面にジオネット(タキロンシーアイシビル社製)を敷いた。たった1m四方だけだが、この1年半の間にイタドリは1本も生えてこなかった。ジオネットはイタドリの成長を恒久的に制御できそうだ。
ジオネットは耐侵食性もある。洪水が地面に直接当たらないので侵食されにくくなるのだ。また、草の根がジオネットを通って地面に根を張っているから、根がアンカーピン代わりになって洪水が当たってもネットは簡単には剝がれないだろう。
堤防のすべての法面にジオネットを敷くのは予算的に不可能だが、利用頻度が高い場所や洪水の弱点となるような場所に、限定的に施工することは可能だ。
大事なことは、河川管理者に改善を図ろうとする熱意や情熱があるかどうかだ。
1か月前に除草したものの、イタドリは1mまで再生してしまった。しかし、試験箇所には生えておらず、ジオネットがイタドリを制御していることが分かる。 除草前の小径の状況(6月11日時点)。イタドリは3m近くまで伸びてジャングルのようになっていた。こうなると、カマでの除草は困難だ。散歩だけでなく堤防の点検もできなくなってしまう。(写真中央のカマの長さは1.2m)
堤防の除草は年に1回。今年は8月の下旬だった。以前は年に2回刈ってくれたが、予算不足で減らされたのだろう。
写真の場所は近所の住人たちの散歩道となっている。夏の暑い日は火照ったアスファルト舗装を避けて、人間や犬たちがこの小径を通る。
しかし、初夏にはイタドリなどが3m近くまで伸び、ジャングルになって小径を塞いでしまいだれも通らなくなる。
3mに成長したイタドリは、幹が樹木のように固くなり鎌では刈れなくなる。数年前から時々ボランティアで草刈りをしていたが、固くなったイタドリで鎌がすぐに切れなくなったり変形してしまう。草刈りを2週間ほどサボっていると、小径はジャングルに変貌してしまう。
草刈りをしなくても、何時でも散歩できるようになれば住民たちが喜ぶだろう。自然のままの広瀬川は気持ちがいい。車を気にしないで自然を堪能できる。河原には木が茂り、せせらぎの音に混じって小鳥たちのさえずりが聞こえる。河川愛護の気持ちも生まれるだろう。それに、堤防点検もスムーズにできるはずだ。
住民から親しまれているこの小径がジャングルにならないようにしたい、そんな想いで昨年(2022年)の春に、堤防の法面にジオネット(タキロンシーアイシビル社製)を敷いた。たった1m四方だけだが、この1年半の間にイタドリは1本も生えてこなかった。ジオネットはイタドリの成長を恒久的に制御できそうだ。
ジオネットは耐侵食性もある。洪水が地面に直接当たらないので侵食されにくくなるのだ。また、草の根がジオネットを通って地面に根を張っているから、根がアンカーピン代わりになって洪水が当たってもネットは簡単には剝がれないだろう。
堤防のすべての法面にジオネットを敷くのは予算的に不可能だが、利用頻度が高い場所や洪水の弱点となるような場所に、限定的に施工することは可能だ。
大事なことは、河川管理者に改善を図ろうとする熱意や情熱があるかどうかだ。
1か月前に除草したものの、イタドリは1mまで再生してしまった。しかし、試験箇所には生えておらず、ジオネットがイタドリを制御していることが分かる。 除草前の小径の状況(6月11日時点)。イタドリは3m近くまで伸びてジャングルのようになっていた。こうなると、カマでの除草は困難だ。散歩だけでなく堤防の点検もできなくなってしまう。(写真中央のカマの長さは1.2m)
2023年8月20日日曜日
堤防でイタドリの成長抑制の試験施工を行う(3) (堤防のイタドリ・ブタクサ・セイヨウカラシナ・セイタカアワダチソウ・セイバンモロコシ・アレチウリ・モグラ・キツネ・イノシシ対策に挑む)
2023年の1月に国土交通省が管理する堤防で、ジオネット(タキロンシーアイシビル社製 強害雑草抑制ネットの1mmメッシュ)を利用して、イタドリの成長抑制対策の試験施工を行った。
その後、堤防の表土を15cm削ってジオネットを敷き、その上に野芝を張ったエリアには、7月7日時点でイタドリの新芽が、1m2あたり2~3本程度の割合で萌芽していた。
それから40日経過した8月18日。再び現地に行ってみると、イタドリの成長は停滞していて草丈はほとんど変化がなかった。この状態だと堤防の点検は問題なく行えるだろう。
また、40日前には元気だったはずのイタドリの芽が、立ち枯れているのが何本もあり、一方で60㎝ほどまで伸びているのも3本ほどあった。
60㎝まで伸びたり、枯れたりするのはなぜだろうか。これを究明すれば新しい技術が生れるかもしれない。
イタドリが河川管理者から嫌われる理由は、ひとつは3mまで延びるイタドリが密集すると、堤防の点検の邪魔になるからだ。二つ目は、イタドリが繁茂すると日光が下草に届かないので堤防の表面が裸地化し、雨や洪水で侵食されやすくなるからだ。
裸地化の原因はイタドリが発するアレロパシーのせいだとの説もある。
イタドリの成長はおおむね8月で止まる。
試験施工の効果は十分といえよう。
国交省の堤防での試験施工エリア。令和5年7月7日の時点。小さなイタドリが萌芽していた。 同じエリアの令和5年8月16日時点の状況。前回の観察から40日経過したが、イタドリはほとんど成長していなかった。この状況だと堤防点検は支障なくできそうだ。なお、試験エリアの周りは1度除草したのにも関わらず、イタドリなどがすでに1m以上にのびていた。
その後、堤防の表土を15cm削ってジオネットを敷き、その上に野芝を張ったエリアには、7月7日時点でイタドリの新芽が、1m2あたり2~3本程度の割合で萌芽していた。
それから40日経過した8月18日。再び現地に行ってみると、イタドリの成長は停滞していて草丈はほとんど変化がなかった。この状態だと堤防の点検は問題なく行えるだろう。
また、40日前には元気だったはずのイタドリの芽が、立ち枯れているのが何本もあり、一方で60㎝ほどまで伸びているのも3本ほどあった。
60㎝まで伸びたり、枯れたりするのはなぜだろうか。これを究明すれば新しい技術が生れるかもしれない。
イタドリが河川管理者から嫌われる理由は、ひとつは3mまで延びるイタドリが密集すると、堤防の点検の邪魔になるからだ。二つ目は、イタドリが繁茂すると日光が下草に届かないので堤防の表面が裸地化し、雨や洪水で侵食されやすくなるからだ。
裸地化の原因はイタドリが発するアレロパシーのせいだとの説もある。
イタドリの成長はおおむね8月で止まる。
試験施工の効果は十分といえよう。
国交省の堤防での試験施工エリア。令和5年7月7日の時点。小さなイタドリが萌芽していた。 同じエリアの令和5年8月16日時点の状況。前回の観察から40日経過したが、イタドリはほとんど成長していなかった。この状況だと堤防点検は支障なくできそうだ。なお、試験エリアの周りは1度除草したのにも関わらず、イタドリなどがすでに1m以上にのびていた。
2023年8月7日月曜日
堤防でイタドリの成長抑制の試験施工を行う(2) (堤防のイタドリ・ブタクサ・セイヨウカラシナ・セイタカアワダチソウ・セイバンモロコシ・アレチウリ・モグラ・キツネ・イノシシ対策に挑む)
国土交通省が管理する堤防で、ジオネット(タキロンシーアイシビル社製 強害雑草抑制ネットの1mmメッシュ)を利用して、イタドリの成長抑制対策の試験施工を行った。
2023年の1月に工事を行い、それから5か月ほど経った6月初旬の状況が下の写真。中央の芝が試験エリアで、その周りは従来のままの法面。周りはイタドリやほかの雑草が1m以上に伸びている。
この時点ではジオネットの有無に関係なくイタドリがほとんど生えていなかった。
従来、イタドリが繁茂した場合は、堤防法面を深さ50㎝掘削し、さらにその切土面を階段状に仕上げる「段切り」をしてから新しい土を盛土し、最後に野芝張る。この方法だと1m2あたりの工事費用(経費込み)は約1万円ほどになる。
土を50㎝入れ替える場合、イタドリの地下茎の9割程度が除去される。しかし、イタドリの地下茎は地下2mまで延びているので、残った地下茎から萌芽が始まる。50㎝の盛土の中を突き抜けて地表面に萌芽するまでに、正確にどのくらいの時間を要するのかは不明だが、2~3年ぐらいでポツリポツリと萌芽し始めて、4~5年後には元の状態に戻るらしい。
このブログでは、その5年間を追跡報告してみたいと思う。
写真の手前から1本目の杭までが、50㎝土を入れ替え野芝を張ったエリア。1本目から2本目の間は、50㎝の土を入れ替えて1mmメッシュのジオネットを敷設してあるエリア。その奥のエリアは15㎝土を入れ替えてジオネットを敷設したエリア。ジオネットを敷設したエリアは若干、芝の生え具合が劣る。 ジオネットを敷設していないエリアで、モグラかアナグマが穴を掘った形跡が3か所見つかった。ジオネットを敷設しているエリアではその形跡がなかった。 モグラかアナグマが掘った穴の形跡。
2023年の1月に工事を行い、それから5か月ほど経った6月初旬の状況が下の写真。中央の芝が試験エリアで、その周りは従来のままの法面。周りはイタドリやほかの雑草が1m以上に伸びている。
この時点ではジオネットの有無に関係なくイタドリがほとんど生えていなかった。
従来、イタドリが繁茂した場合は、堤防法面を深さ50㎝掘削し、さらにその切土面を階段状に仕上げる「段切り」をしてから新しい土を盛土し、最後に野芝張る。この方法だと1m2あたりの工事費用(経費込み)は約1万円ほどになる。
土を50㎝入れ替える場合、イタドリの地下茎の9割程度が除去される。しかし、イタドリの地下茎は地下2mまで延びているので、残った地下茎から萌芽が始まる。50㎝の盛土の中を突き抜けて地表面に萌芽するまでに、正確にどのくらいの時間を要するのかは不明だが、2~3年ぐらいでポツリポツリと萌芽し始めて、4~5年後には元の状態に戻るらしい。
このブログでは、その5年間を追跡報告してみたいと思う。
写真の手前から1本目の杭までが、50㎝土を入れ替え野芝を張ったエリア。1本目から2本目の間は、50㎝の土を入れ替えて1mmメッシュのジオネットを敷設してあるエリア。その奥のエリアは15㎝土を入れ替えてジオネットを敷設したエリア。ジオネットを敷設したエリアは若干、芝の生え具合が劣る。 ジオネットを敷設していないエリアで、モグラかアナグマが穴を掘った形跡が3か所見つかった。ジオネットを敷設しているエリアではその形跡がなかった。 モグラかアナグマが掘った穴の形跡。
2023年7月18日火曜日
堤防でイタドリの成長抑制の試験施工を行う(1) (堤防のイタドリ・ブタクサ・セイヨウカラシナ・セイタカアワダチソウ・セイバンモロコシ・アレチウリ・モグラ・キツネ・イノシシ対策に挑む)
河川の堤防で、令和5年1月にイタドリの成長抑制をめざした試験施工を国交省が行った。
ジオネットは私が特許を得た1mmメッシュで端部が折り返し加工されたものを使用する。(タキロンシーアイシビル社製の「強害雑草抑制ネット」)
ジオネットの継目を単純に重ね合わせただけにすると、イタドリが継目の隙間から萌芽するからだ。イタドリはどんなに狭い隙間でも這い出してくる。
試験施工は国交省側の都合で1月になった。
厳寒期の1月に野芝を張って、はたして芝が活着できるだろうかと心配だった。
試験施工は3パターンで行われた。
パターン①は堤防法面を15cm掘削して、良質土を15cm補充。法面整形をしてからジオネットと野芝を張るケースで、恒久的にイタドリの成長抑制をめざすものだ。
パターン②は、堤防法面を50cm掘削し、段切りをして良質土でもとの高さまで盛土し、法面整形をしてからジオネットと野芝を張るケース。これも恒久対策になる、
パターン③は、堤防法面を50cm掘削し、段切りをして良質土でもとの高さまで盛土し、法面整形をして野芝を張るケース。このパターンは以前から各現場で行われている従来型の芝の張替え手法だ。
イタドリは深さ2mのところにも地下茎を張り巡らすことがあり、地下茎を少しでも取り残すと、残った地下茎から芽を伸ばし3~4年後には再繁茂する。したがって従来の工法は恒久的な対策にはならない。この試験施工がめざすのは恒久的な予防保全である。
今回の試験施工では、次の項目の検証ができると期待している。
①折り返した継目の効果
②コの字型のアンカーピンの是非
③ジオネットのイタドリの成長抑制効果
④モグラの防止効果
⑤芝がジオネット上で生育の可否
⑥適正な掘削深さの確認
⑦施工上の問題点
⑧除草量や除草回数の逓減効果
何もしないで黙っていても、新しい技術は生まれない。
試験施工で多くの知見が得られれば、その分だけイタドリの成長抑制技術は確実に進化する。
国交省が私の提案する恒久的な予防保全対策に期待して、試験施工してくれたのはとてもありがたく技術者冥利の極みである。
イタドリ根っ止のカタログ → https://www.kensetsu-plaza.com/catalog/post/49352
ジオネットの貼り付け作業。継目にコの字型アンカーピンを打ち込んだ。コの字型アンカーピンだと、ジオネットが破れにくい。 別の現場でU字型アンカーピンを使ったところ、ピンがだんだん狭くなっていくので、ジオネットが破けてしまった。イタドリはこの破れた箇所から確実に芽を伸ばす。アンカーピンはコの字型でないといけない。 梯子を使ったジオネットの貼り付け作業は、足を踏み外し易いので難しくなる。足場板をこの図のように加工した作業足場が必要だということが分かった。 手前がパターン①、奥が②と➂。②と➂は土を50㎝入れ替え、段切りもしたので、イタドリの芽がまだ地上に到達していない。手前のパターン①は15㎝の入れ替えなのでイタドリの地下茎が温存されていて、発芽が多くあった。しかし、通常であれば1m以上に伸びるイタドリは、5~20㎝に成長が抑制されている。 パターン①のエリアで発芽したイタドリ。撮影は7月7日。イタドリは発芽してもジオネットで成長が抑制されている。この程度だと、堤防点検には支障がないので、ジオネットの効果があったといえる。今後、秋までにどれ程まで伸びるのか、来夏はどうなるのかを観察していくことになる。 試験施工で使用したジオネットの継ぎ目は嵌合式(嚙合わせる方式)なので、隙間が発生しない。隙間がないとイタドリは侵入できないし、侵食もされにくくなる。施工も楽になるというメリットがある。北海道開発局旭川開発部では本格的に実装施工している。
ジオネットは私が特許を得た1mmメッシュで端部が折り返し加工されたものを使用する。(タキロンシーアイシビル社製の「強害雑草抑制ネット」)
ジオネットの継目を単純に重ね合わせただけにすると、イタドリが継目の隙間から萌芽するからだ。イタドリはどんなに狭い隙間でも這い出してくる。
試験施工は国交省側の都合で1月になった。
厳寒期の1月に野芝を張って、はたして芝が活着できるだろうかと心配だった。
試験施工は3パターンで行われた。
パターン①は堤防法面を15cm掘削して、良質土を15cm補充。法面整形をしてからジオネットと野芝を張るケースで、恒久的にイタドリの成長抑制をめざすものだ。
パターン②は、堤防法面を50cm掘削し、段切りをして良質土でもとの高さまで盛土し、法面整形をしてからジオネットと野芝を張るケース。これも恒久対策になる、
パターン③は、堤防法面を50cm掘削し、段切りをして良質土でもとの高さまで盛土し、法面整形をして野芝を張るケース。このパターンは以前から各現場で行われている従来型の芝の張替え手法だ。
イタドリは深さ2mのところにも地下茎を張り巡らすことがあり、地下茎を少しでも取り残すと、残った地下茎から芽を伸ばし3~4年後には再繁茂する。したがって従来の工法は恒久的な対策にはならない。この試験施工がめざすのは恒久的な予防保全である。
今回の試験施工では、次の項目の検証ができると期待している。
①折り返した継目の効果
②コの字型のアンカーピンの是非
③ジオネットのイタドリの成長抑制効果
④モグラの防止効果
⑤芝がジオネット上で生育の可否
⑥適正な掘削深さの確認
⑦施工上の問題点
⑧除草量や除草回数の逓減効果
何もしないで黙っていても、新しい技術は生まれない。
試験施工で多くの知見が得られれば、その分だけイタドリの成長抑制技術は確実に進化する。
国交省が私の提案する恒久的な予防保全対策に期待して、試験施工してくれたのはとてもありがたく技術者冥利の極みである。
イタドリ根っ止のカタログ → https://www.kensetsu-plaza.com/catalog/post/49352
ジオネットの貼り付け作業。継目にコの字型アンカーピンを打ち込んだ。コの字型アンカーピンだと、ジオネットが破れにくい。 別の現場でU字型アンカーピンを使ったところ、ピンがだんだん狭くなっていくので、ジオネットが破けてしまった。イタドリはこの破れた箇所から確実に芽を伸ばす。アンカーピンはコの字型でないといけない。 梯子を使ったジオネットの貼り付け作業は、足を踏み外し易いので難しくなる。足場板をこの図のように加工した作業足場が必要だということが分かった。 手前がパターン①、奥が②と➂。②と➂は土を50㎝入れ替え、段切りもしたので、イタドリの芽がまだ地上に到達していない。手前のパターン①は15㎝の入れ替えなのでイタドリの地下茎が温存されていて、発芽が多くあった。しかし、通常であれば1m以上に伸びるイタドリは、5~20㎝に成長が抑制されている。 パターン①のエリアで発芽したイタドリ。撮影は7月7日。イタドリは発芽してもジオネットで成長が抑制されている。この程度だと、堤防点検には支障がないので、ジオネットの効果があったといえる。今後、秋までにどれ程まで伸びるのか、来夏はどうなるのかを観察していくことになる。 試験施工で使用したジオネットの継ぎ目は嵌合式(嚙合わせる方式)なので、隙間が発生しない。隙間がないとイタドリは侵入できないし、侵食もされにくくなる。施工も楽になるというメリットがある。北海道開発局旭川開発部では本格的に実装施工している。
2023年6月5日月曜日
4. 堤防のイタドリ・ブタクサ・セイヨウカラシナ・セイタカアワダチソウ・セイバンモロコシ・アレチウリ・モグラ・キツネ・イノシシ対策
国土交通省の仙台河川国道事務所の名取川出張所が2年前に発表した論文を読んだ。
「堤防法面に適した植生管理の試行について」というタイトルで、オオブタクサを排除するために、堤防法面を掻き起した顛末を発表している。
出張所の担当は、オオブタクサが繁茂する箇所を掻き起して野芝の種子を散布してみたのだが、かえって広く繁茂してしまったという。
たぶん周辺にこぼれていたオオブタクサの種子が拡散されたのだろう。たった半年で小粒の種から3mの大木に成長する生命力には驚くが、堤防の植生管理でオオブタクサを扱うのは、名取川出張所が初めてだろう。
オオブタクサは草丈が最大で3mにも達する外来種で種子で繁殖する。地下茎はなく根は地表面の浅いところにある。
根は中心部が太く、そこからたくさんの細い根が広がって、風に吹かれても倒れないようにふんばっている。
いままでだれも手を付けなかった堤防のオオブタクサに、名取川出張所が挑もうとしているのは立派なことだ。
思えば堤防の構造は何十年も変わっていないような気がする。道路では予防保全型インフラメンテナンスを標榜し、様々な技術が導入されている。
名取川出張所はこれから高い壁を乗り越えようとしているのかもしれない。
ジオネットは予防保全技術である。ジオネットでオオブタクサの根の中心部が太れないように予防できれば、オオブタクサの成長が抑制でき、一度の対策で恒久的に抑制効果が続くはずだ。
雑草が生えてから手を打つのでなく、生えにくくなるようにすることが予防保全型メンテナンスだ。
オオブタクサは荒れ地でもよく育つ。高さは3mにもなる外来種で、住民からは嫌われている。 オオブタクサの根は短くて浅い。中心となる根からたくさん細い根が四方八方に広がって、風に吹かれても倒れないように踏ん張っている。
「堤防法面に適した植生管理の試行について」というタイトルで、オオブタクサを排除するために、堤防法面を掻き起した顛末を発表している。
出張所の担当は、オオブタクサが繁茂する箇所を掻き起して野芝の種子を散布してみたのだが、かえって広く繁茂してしまったという。
たぶん周辺にこぼれていたオオブタクサの種子が拡散されたのだろう。たった半年で小粒の種から3mの大木に成長する生命力には驚くが、堤防の植生管理でオオブタクサを扱うのは、名取川出張所が初めてだろう。
オオブタクサは草丈が最大で3mにも達する外来種で種子で繁殖する。地下茎はなく根は地表面の浅いところにある。
根は中心部が太く、そこからたくさんの細い根が広がって、風に吹かれても倒れないようにふんばっている。
いままでだれも手を付けなかった堤防のオオブタクサに、名取川出張所が挑もうとしているのは立派なことだ。
思えば堤防の構造は何十年も変わっていないような気がする。道路では予防保全型インフラメンテナンスを標榜し、様々な技術が導入されている。
名取川出張所はこれから高い壁を乗り越えようとしているのかもしれない。
ジオネットは予防保全技術である。ジオネットでオオブタクサの根の中心部が太れないように予防できれば、オオブタクサの成長が抑制でき、一度の対策で恒久的に抑制効果が続くはずだ。
雑草が生えてから手を打つのでなく、生えにくくなるようにすることが予防保全型メンテナンスだ。
オオブタクサは荒れ地でもよく育つ。高さは3mにもなる外来種で、住民からは嫌われている。 オオブタクサの根は短くて浅い。中心となる根からたくさん細い根が四方八方に広がって、風に吹かれても倒れないように踏ん張っている。
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