2020年3月23日月曜日

耐越水シートの開発⑥(当面は裏法面の被覆が基本)

 台風第19号の被災を鑑み国交省が設置した「河川堤防に関する技術検討会では、国交省が全国で4年前から実施している、天端舗装や法尻ブロックなどの「危機管理型ハード対策」の改良版として、裏法面をシートやコンクリート等で被覆する工法について検討していくこととしている。

 下の検討会資料では、シート張り+覆土と、ブロック張の2種類について提起しているが、全国の河川の膨大な延長をブロック張にすることは、コスト的にも、親水性の確保のためにも困難であることは、直ぐに想像できる。

 つまり、消去法でシート張り+覆土案が残ることになる。

 シートの種類は、遮水シート、吸出し防止シート、ジオネット(あるいはジオグリット)が考えられる。
 
 遮水シートの上に覆土すると、遮水シートがすべり面になり、法崩れが発生しやすくなる。吸出し防止材でも材質によっては法崩れが発生する可能性がある。

 また、過去の実験でシートの継ぎ目で侵食しやすいことから、継ぎ目は溶着が必要になる。傾斜のある法面での溶着作業は簡単にはできないし、溶着部でシートが熱劣化を発生し、時間の経過で脆性破壊する可能性もある。覆土の厚さは30cmから50㎝と想定されるが、覆土してしまうと、シートの破断状況は点検することも補修も難しくなる。

 しかし、遮水シートの場合は、覆土しないと植生が根を張ることができないので、堤防法面の緑化は不可能である。 

 したがって、吸出し防止シートまたはジオネットに野芝を張るか、厚さ3㎝程度の客土吹き付けをする方法が想起されるのである。
 

国交省の河川堤防に関する技術検討会の資料(資料3-1より)
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