2019年10月の台風19号で、国が管理する河川が12箇所で決壊した。決壊の原因はすべて越水によるものであったと、国交省の調査委員会が分析している。県が管理している128箇所の堤防の決壊の原因もまた、越水が主原因であった。
越水による堤防の決壊が注目されている。
2020年2月24日付けの日経コンストラクションは「消された堤防」というタイトルで、越水破堤に目を背けてはならないことや、危機管理型ハード対策で天端舗装や、法尻ブロックだけでは不十分なこと、越水破堤の防止のために研究が必要なことなどを18頁の紙面をさいて訴えている。
2015年12月、国土交通省は「危機管理型ハード対策」として、全国の約1800㎞で、堤防の天端の舗装(1310㎞)や、堤防の裏法尻のブロック張工(630㎞)を、2020年度までの5ヶ年で整備することを公表した。
しかし、なぜブロック張を法尻から2mだけに決めたのか、その根拠は示されていなかった。
また、法尻ブロックの上部の法面には芝がびっしり生えているという条件で、人工芝を敷いて法尻ブロックと裏法の境界部について、耐侵食性の確認の水理実験をしている。
ゴルフ場のように日々手入れをしないと、芝をびっしりと生やすのは難しい。管理が行き届いているように見える公園の芝でさえ、目を凝らして観察すると、地肌だけの部分が多いことに驚く。越水流は地肌などの弱い箇所を集中して洗堀する。
越水により堤防はどのように侵食されていくのか。
2015年に東京理科大学の二瓶教授が実物大の実験している。実験は天端に舗装が施工されている状態で行われた。法尻が最初に洗堀されると思っていたが、実際は法肩に近い法面からだった。
0 件のコメント:
コメントを投稿