危機管理型ハード対策で法尻だけをブロックで補強しても、法面や法肩でも侵食されるので対策の見直しが必要であることは、台風19号が来襲する1年以上前から、何度かこのブログでも訴えていた。(2017年の7月頃)
昨年(令和元年)の秋、台風19号が去ったあと、国交省北上川下流河川事務所が管理する吉田川の上流の善川へ行ってみた。吉田川では越水破堤した箇所があり、多くの家屋が流されたり浸水した。善川では数箇所で堤防の損害が発生していた。
川の周りは水田が多く、洪水で稲わらが堤防の周りに流れ着いて堆積していた。
よく見ると、堤防の法肩が侵食されていた。東京理科大学の二瓶研究室で行われた実験と同じ現象が、本物の堤防でも発生していたのである。法尻では侵食は見られなかった。
越水による川裏の侵食が常に法尻から始まるという定説に基づいて、国交省の治水課は「危機管理型ハード対策」と称して、法尻の2mだけをコンクリートブロックで補強する方針を決めたが、実際は、堤防の土質や植生の状況で法肩や法面も侵食されることが露呈されたのである。
堤防の越水対策で、最も重要なことは何だろうか。それを考えさせるのがこの写真である。
東京理科大の実験状況 |
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